【2006年09月02-03日/北ア:燕岳〜大天井岳〜常念岳〜蝶ケ岳/木内茂雄調査】
【タイム】
(9/2)中房温泉5:12〜5:44水場〜6:08第2ベンチ6:14〜6:43第3ベンチ〜7:12富士見ベンチ7:20〜7:46合戦小屋7:59〜8:17燕山荘見える〜8:52燕山荘9:36〜10:00燕岳10:05〜10:24燕山荘〜11:15大下り頭〜11:24最低鞍部〜11:55為右門吊岩の次の岩12:09〜12:47切通し分岐12:52〜13:21大天荘13:30〜13:39大天井岳13:50〜13:57大天荘
(9/3)大天荘6:00〜7:46常念小屋7:55〜8:49三俣分岐〜8:57常念岳9:31〜10:16最低鞍部〜10:28樹林帯最低鞍部〜11:12小池〜11:53蝶槍11:59〜12::09横尾への分岐〜12:30蝶ケ岳ヒュッテ13::09〜13:12蝶ケ岳山頂13:20〜13:53長塀山〜15:18徳沢園15:32〜16:11明神16:16〜16:55上高地バス停
【記 録】
大昔、北アルプスの山々は殆ど登ったが常念岳、蝶ケ岳はどういう訳か、縁が無く未登で有ったので今回計画した。
前夜、無理をして安曇野市(市町村合併で以前は豊科)に入り、朝早く予約しておいたタクシー会社に車を沢渡に回送(8千円)してもらい、中房温泉までタクシーで入った(これまた8千円)。夜明けと同時に登り出すが昔の記憶は全くなく、急斜面をジグザグに登る。
カラマツからトド松それに岳樺を混じえた樹林帯を登る。葉だけで確認した花はゴゼンタチバナ、マイヅルソウ、トリアシショウマ、ヒヨドリバナ、キイチゴなどである。
富士見ベンチでは、その名の通り富士山が見え、横には八ヶ岳が雲海の上に見える。山の斜面は急であるが、ジグザグ道なので楽に合戦小屋まで登る。昔、厳冬期に雪が深くて此処から撤退したことは覚えているが、景色は記憶なく、見回すとカニコウモリ、ミヤマコウゾリナ、キオン、ゴマナ等が咲いている。合戦の由来を書いた看板を撮って、小屋でスイカを食べている女性客に挨拶してから出発する。
大きな木が無くなる頃からヤマハハコ、クロトウヒレン、オヤマリンドウ、ウサグギク等が目立ち始め、間もなく右上方に燕岳の頭、針木岳、そして左には槍ヶ岳が頭を出してくる。樹林帯が、まばらな岳樺の平らな道になると、背中に朝日を浴び少し暑くなるが、燕山荘が見えてくるので張り合いが出る。
右下斜面は草地が有り、遠目にコバイケイソウの葉とハクサンフウロが確認できる。恐らく時期が少し前だと他の花も咲いているのだろう。
更に先に進むと見通しが良くなり、鹿島槍ヶ岳も見えてきて、花もコゴメグサ、トリカブト、シモツケソウ、ウメバチソウ、アザミ、黄色鮮やかで大きなミヤマコウゾリナ、そして、酸っぱいキイチゴを食べながら進むと、左斜面の上部には燕山荘の屋根が見え、トウチソウ、テガタチドリが終わろうとしている。燕山荘が見えてから、意外と距離が有り35分位かかって着いた。
これからは、大した起伏も無かったと思い、冷やしてきたものを二缶片づけた。それから、燕岳までカメラだけ持って往復する。聞いてはいたがコマクサが点々と有りまだ花が咲いているし、それに混じってトウヤクリンドウが咲いている。天気は快晴で、北アルプスの山々の尾根は幾層にも重なり、地図に有る如く全て(陰の山以外)が見渡せると言い切っても過言でない。この辺りからは北鎌尾根が良く見え、その先には槍ヶ岳が小槍を従えている。雄大な、山々の中でも槍ヶ岳は顕著な存在感を持っていて、翌日も常に見ていたが飽きない。
燕岳から引き返して、大天井岳にと向かう。歩調は快調で、稜線漫歩が良く出来気分も浮き浮きしながら、山々を眺めて行くと登山道でニホンザルが出迎えてくれる。三脚無しの望遠で撮ったのでピンぼけしていた。大きな起伏もなく“大下りの頭”を通過すると名前の通り大きく下っていく。その左斜面には、マルバダケブキ、ハクサンフウロ、トリカブト、サラシナショウマ、ウメバチソウ、ムカゴトラノオの花と、ニッコウキスゲ、ヤマブキショウマ、イワオトギリの葉を確認する。
その先でタカネツメクサ、トウヤクリンドウ、そしてコマクサがまだ点々と続いている。それから、先程より、ウラシマツツジの葉の紅葉が始まっている。切り通し分岐を過ぎてもコマクサは有るし、チングルマの実毛も賑やかだし、ミヤマダイコンソウの葉も見つける。
大天井岳の登りとなると10時間も行動してきたせいか足がなかなか上がらず苦しい。昔の思い出は、大した起伏も無く、楽に歩いたと馬鹿にしてきたが、全く予想外で参った。
こんな事で100才まで上れるか一寸心配になる。
漸く大天荘に辿り着き、ザックを置いて大天井岳まで行ってくる。大天荘を出て直ぐに、チングルマの実毛とミヤマダイコンソウの葉を見つけるが、花の時期にはその他にも有りそうだ。相変わらずの快晴で、雄大な山々は全て見えて、更に涸沢小屋まで見える。
(9/3)
今日も快晴で、御来光の写真が何枚も撮れたし、槍ヶ岳の朝焼けも撮る事が出来た。
常念岳を目指すが此処からは見えない。そして、今日もニホンザルが二回出迎えてくれる。
咲いている花はトウヤクリンドウ、イワツメクサ、ヤマソバだけで、ミヤマキンバイの葉を確認する。
いつの間にか常念岳が見えるようになり、横通岳を巻いているので判らない内に常念小屋を見下ろすようになる。大した下りでなく小屋に着く、此処から見上げる常念岳は、ドッシリと前に立ちはだかり迫力がある。槍ヶ岳は見えるが、穂高連峰は陰で見えない。一服後、ガラガラ石の登山道を登る、目測して40分位で登れるだろうと計算したが、手強く1時間強かかった。今日はまだ朝の内なのでペースを保って登れた。この山は以前遠くから見ていて大したことはないと、見くびっていたが、手応えが有り張り合いの有る山だ。
山頂で、山々の大パノラマを眺めながら、雄大な気分に浸りユックリと朝食をとる。
更に蝶ケ岳を目指して岩混じりの登山道を下るが、この頃には、霧が湧き上がり、低い蝶ケ岳は雲の中で見えない。登山道も岩混じりなので、踏み跡を見逃し易い。矢張り晴れていて遠望が利けば、神経を使う事が無い。45分程の長い下りで最低鞍部に着いたと思ったら、その先10分位で最低鞍部になり、這い松と、トド松の樹林帯に入る。
途中、草地の所も有り、盛りのトリカブトと、コバイケイソウの名残が見えるので時期が、少し前だとお花畑かもしれない。
小さな池等を通過して樹林帯を登っていくと蝶槍に着く。晴れていれば景色は良いのだろうが、霧で全く視界が効かない。この後も霧が切れることは無く、蝶ケ岳ヒュッテでユックリしてから、2,3分の山頂に登り、それからは唯下るのみ、暫くは草地と小さな池を見ながら、そして、クルマユリ、ハクサンフウロ、ウサギギクを撮り終わる。後は樹林帯の中を黙々と下るのみで、霧が無くても見通しの利かない単調な樹林帯の中を一時間半も行くと、長塀山に着く。標識が無いと山頂とは気づかないし、通りがかった登山客に“オガカベヤマ”と言われた。こんな珍しい呼び方は聞かないと判らない。その先、更に下りを続け、そして徳沢園に降りる。此処からそれこそ、退屈な平らな道を明神、上高地へと歩いた。
合戦小屋 | 合戦の由来 |
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合戦小屋の飾り | 見通し良く八ヶ岳を見る |
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合戦小屋より上部で大天井岳 | 合戦小屋上部にて槍ヶ岳 |
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燕山荘近くにてシモツケソウ | ミヤマコウゾリナ |
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燕山荘近くにてヒゴタイ | 燕岳手前にて烏帽子岳 |
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ウメバチソウ | コゴメグサ |
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燕手前にて富士山、右南ア、左八ヶ岳 | 燕山荘前より燕岳 |
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燕山荘全景 | 燕山荘前より槍ヶ岳を望む |
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燕山荘付近より槍ヶ岳を望む | 燕岳山頂より立て山、右針木岳 |
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燕岳山頂より左から 針木岳、蓮華岳、鹿島槍ヶ岳 |
燕岳山頂より槍ヶ岳 |
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燕岳付近より燕山荘を眺める | 終わりかけのコマクサ |
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燕山荘より槍ヶ岳を望む | 燕山荘前の標識と燕岳 |
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ニホンザル | 大天井岳に向かう |
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燕山荘と燕岳を振り返る | 大下りの頭標識 |
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喜作のレリーフ | 切通岩付近より燕岳を振り返る |
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ヤマソバ | 大天井より常念岳を望む |
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大天荘前の夜明け | |
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大天荘の夜明け | 大天荘前にて槍ヶ岳の夜明け |
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大天荘と大天井岳の朝 | 大天荘前にてトウヤクリンドウ |
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常念岳に向かう | 常念岳に近づく |
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常念岳手前にてチングルマの実毛 | 常念岳と常念小屋 |
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常念小屋を見下ろす | 常念岳小屋前風景 |
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常念岳より槍ヶ岳 | 常念岳より穂高連峰 |
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蝶ヶ岳登りにて標識 | 蝶ヶ岳ヒュッテ |
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蝶ヶ岳山頂 | 蝶ヶ岳標識 |
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蝶ヶ岳下りにてハクサンフウロ | 蝶ヶ岳下りにてクルマユリ |
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