【2007年08月18-19日/北ア:剱岳(早月尾根)/木内茂雄】
【タイム】
(8/18)馬場島(早月尾根)登山口5:42〜6:28標高1,000m〜7:20標高1,200m〜8:10標高1,400m〜8:28標高1,600m〜9:18標高1,800m〜10:15避難小屋跡〜10:24標高2,000m〜10:38小さな池塘二つ〜11:12丸山〜11:14早月小屋12:34〜13:46標高2,600m14:20〜15:05早月小屋
(8/19)早月小屋5:11〜5:42標高2,400m〜6:13標高2,600m6:23〜7:01標高2,800m7:16〜8:00剱沢からの道合流〜8:07剱岳山頂8:48〜8:55馬場島への分岐〜9:33標高2,800m〜10:14標高2,600m10:20〜10:40標高2,400m〜10:58早月小屋12:11〜12:30標高2,000m〜12:39避難小屋跡〜13:00標高1,800m〜13:20標高1,600m13:27〜13:37標高1,400m〜13:54標高1,200m〜14:23標高1,000m〜14:43馬場島登山口
【記 録】
(8/18)
前夜に、馬場島に入り軒下で寝る。夜中に空を見ると星が一つ二つしか見えない。朝は高曇りで剱の頭は見えない。晴れる事を信じそして、念じて行動開始する。テント場とトイレ、炊事場が完備されている馬場島を見渡しながら、早月尾根の登山口に入る。そこには、観音様、剱岳の諭の碑、とか神社の祠らしいものが有り、足下の金属製プレートの標識には標高760m、5,4kで標高2,200m早月小屋、そこから、2,9kで標高2,998m剱岳山頂と有る。この標識が200m毎に有るので時間の目標が立て易い。
登山道は直ぐ登りになり、ナラとカエデ、ホウノキ、杉、等の林の中を進む。25分程で右からの沢音が一旦、聞こえなくなる。標高1,000m前後は傾斜が緩やかになり、次第にかなり大きな杉の大木が何本も現れる。後で馬場島荘のロビーにタテヤマ杉、幹周り11,05m、高さ26mとあった。そして叉急な登りが続くが、麻袋に入れた砂で道が整備されていて歩き易い。
花はノリウツギが満開で、カニコウモリ、ツルリンドウの蕾、そして花の無いマイヅルソウ、イワウチワ、チゴユリ、ツルアリドウシ等を見つける。その先でコキンレイカ、ミヤマホツツジ(標高1,800m位上まで見かける)、ミヤマアキノキリンソウ、ミヤマオトギリソウ、アザミ、ヤマブキショウマ、サラシナショウマ、オヤマリンドウの蕾、花の無いエンレイソウ、ユキザサ、アカモノ、ヤグルマソウ、ハリブキ、ゴゼンタチバナ、等が有る。
標高1,800m位までにトリカブト、タマガワホトトギス、イワショウブ、カライトソウ、ハクサンボウフウ、イワイチョウ、オタカラコウ、ミヤマシシウド、ホソバヨモギ、モミジカラマツ、タカネニガナ、ミヤマコウゾリナ、ニッコウキスゲ、花が散る寸前のキヌガサソウ、バイケイソウ、花が無いタケシマラン、コバイケイソウ、ブドウ色したサンカヨウの実、キイチゴが多く赤い実になり始めている。そんな花を楽しみながら行くと、少し平で開けた場所に出る、手頃な石がゴロゴロしているので、避難小屋跡と判断する。その真ん中に1本ミヤマシシウドが泰然と立っている。天気は高曇りで時には雨がパラパラ降って来て一寸不安になる。小屋はもう近いなあと思う頃、小さな池塘が二つ有り、前後して、シロバナニガナ、花の無いネバリノギラン、ショウジョウバカマ、ナルコユリ?を見つけて行くと急に森林限界になり平らになる。此処は丸山と小屋で聞く。そして、見えるはずの小屋と聳え立つはずの剱岳は霧のなかである。2分で小屋に降りて行く、左斜面には、ダイモンジソウ、カラマツソウ、ハクサンボウフウ、エゾシオガマ等が有る。そして小屋は直ぐ目の前であった。小屋の横にテントを張り、一服後2,600m地点まで軽装で散歩がてら登る。途中2、400m地点の標識には早月小屋まで800mとある。予定の2,600m地点周辺は少し残雪が有り、イワイチョウ、イワカガミ、チングルマ、アオノツガザクラ、ミヤマキンバイ、トウヤクリンドウ、ハクサンボウフウ、ミヤマキンポウゲ、オヤマリンドウ、オンタデ、一本のミツバオウレン、ツマトリソウ等が群生とまではいかないが、咲いていて何度かシャッターを押す。霧が上がったり下がったりであるが、明日の好天を期待して小屋に引き返す。
(8/19)
夜中に外に出て見ると満天の星で、今日の晴天を約束してくれる。夜明け頃、テントの外でお湯を沸かしている数分で小さな虫に頭、おでこ、顔、両足(ニッカーズボンでソックス未着)を滅茶苦茶刺され、アットいう間にデコボコにされてしまった。汗と酒のせいか、見事にやられ、100数10カ所の痛痒さに堪えるのに大変だった。
その後、快晴の中を待望の剱山頂を見て登り始める。歩き初めの1時間は、何か気持ち悪いと言うか、心臓がおかしいと言うか、体調が非常におかしい。小さい虫の毒素でも体中に回ったのか、このままでは心臓麻痺でもなるのかと思いつつ意地で堪えた。道は標高2,600辺りまで岳樺を見ながら歩き、その地点(昨日の到達地点)を過ぎ、10分も登ると紫鮮やかなタカネマツムシソウ、イワツメクサ、トリカブト、クルマユリ、ミヤマホツツジ、ミヤマダイコンソウ、ウスユキソウ、ヤマハハコ、チシマギキョウ、ミミナグサ、レイジンソウ、ウサギギク、ヨツバシオガマ、オタカラコウ、ミヤマリンドウ、ミソガワソウ、アラシグサ、ノウゴウイチゴ等が順不動で現れる。そして、特にトウヤクリンドウは標高2,900m位まで随所に咲いている。その先ではヤハズハハコ、シコタンソウ、ハクサンイチゲ、クモマソウ、ベンケイソウ、ミヤマオダマキ咲いている。そんな、花を見ながら標高2,800mを過ぎると次第に岩山の風貌になり、岩場の大小を起伏を上り下りしている内に剱沢から来る稜線の道に合流する。丁度この頃、霧は晴れていて、直ぐ上には登山客がゾロゾロ居る山頂だ。
天気は快晴だが、上昇気流で霧と言うか、雲が湧き上がり、素直に山々を見させてくれない。山頂で40分休憩している間に八ツ峰、雄大な剱沢、室堂、そして、遠くには左から、鹿島槍ヶ岳、烏帽子岳、針木岳、槍ケ岳、穂高連峰、右ズーッと向こうに笠ヶ岳が見れた。
これらを十分に満喫してから、今来た道を引き返す。霧等の見通し悪い時に右馬場島方面を見落とすと剱沢方面に降りてしまので注意が必要だ。降りて行く途中次第に霧の湧き方が多くなってきた。雲行きは良くない。
更に下り登山口手前1時間前頃からゴロゴロと雷が鳴り出し、20分くらい手前からついに雨になった。
【感想】
早月小屋からは左に小窓尾根、剱尾根の岩稜を見ながら、次第に険しい岩場を登る。そして、緊張感溢れる岩登りとなり、稜線に出た時の感動は大きい。剱は岩山のイメージであったが標高2,800mまでは草地が有り、群生とはいかないが花の種類が多いのに驚く。記載した他に洩れた花も有るし、時期が違えばまだまだ有ると思える。剱沢からのルートの花はどのくらい有るか分からないが、この山も花の百名山の一つでもおかしくない。
馬場島より剣岳を望む | 馬場島風景 |
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剣岳の諭:登山口にて | 登山口の慰霊碑 |
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登山口の標識 | 標高1,000mの標識 |
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丸山より霧の早月小屋を見下ろす | 早月小屋よりドームを見る |
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丸山より剣岳と剣尾根小窓尾根を見上げる | 丸山より剣岳を望む |
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丸山より剣岳と早月小屋を見る | 丸山より奥大日岳を見る |
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ミヤマダイコンソウ | ハクサンイチゲ |
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イワツメクサ | トリカブト |
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トリカブトとオタカラコウ | タカネマツムシソウ |
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モミジカラマツ | チングルマ |
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ミヤマホツツジ | タマガワホトトギス |
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ミヤマオトギリ | ヤマブキショウマ |
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キヌガサソウ | サンカヨウの実 |
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タケシマラン | エンレイソウの実 |
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ゴゼンタチバナ | エゾシオガマ |
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ツガザクラ | アラシグサ |
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ダイモンジソウ | トウヒレン |
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トウヤクリンドウ | ウサギギク |
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アオノツガザクラ | ヨツバシオガマ |
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コイワカガミ | クルマユリ |
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レイジンソウとハクサンボウフウ | シコタンソウ |
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ミヤマオダマキ | ヤハズハハコ |
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ミヤマリンドウ | タカネニガナ |
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ホソバウスユキソウ | ミヤマキンバイ |
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シナノキンバイ | ミヤマキンポウゲ |
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ノウゴウイチゴ | オヤマリンドウ |
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ミヤマアキノキリンソウ | 剣沢への分岐標識 |
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剣より剣沢全景 | 剣より針ノ木岳を望む |
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剣より烏帽子岳を望む | 剣より馬場島を見下ろす |
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剣より八ツ峰全景 | 早月小屋の荷下し |
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帰路剣岳を振り返る | |
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