会員の山行 154号

 【2009年06月26〜27日/谷川岳(中央稜、変チ、中央カンテ)/吉田岳】

 今回は登攀に少し負荷をかけようと考え、1日目は時間のある範囲でルート2本を試み、2日目はルート終了点から山頂に抜けて縦走して降りてくるという計画とした。前夜小国を18時に発ち、22時谷川岳PA着。車中泊し、明朝3時30分に起きて谷川岳へと向かった。
[6月26日]
 4時50分、一ノ倉駐車場を出発。平日ではあるが、数台の車があった。雪渓の雪は少なくはなっていたが、まだ問題は無い。中央稜の取付きで準備を行う。今回は2人なので、V級以下のピッチはWKBにやってもらい、なるべくつるべで行くことにした。5時50分登攀開始。まずは私から。続いて2ピッチをWKBが挑戦。WKBはクライミングが上手になったが、ロープワークはまだイマイチである。4ピッチ目が核心部。最初の垂壁はフリーで抜けて安心していたら、難しいのはその上の壁だった。1回A0を使用。フリーにこだわるのもいいが、人工も1つの技術であり、本チャンではとっさに切り替えるという練習も必要に思う。というのは言い訳か・・・。その後もつるべで登り、9時50分衝立の頭に出て登攀終了。
 下山は中央稜をそのまま下るので、最後の簡単なピッチは省略しても良かったのだが、上部の周辺を見てみたいという気持ちがあった。回り込むと下降用のアンカーがある。これは北稜下山用のものか?それは後で確認することとして、2本目を目指す我々は早く降りなければならない。早速懸垂下降に取り掛かった。しかし、ロープを引き抜く時にことごとくロープが引っかかり、抜けないこと度々。要するに我々が下手っぴなのであるが、時間と労力をかなり費やしてしまった。中央稜取付き着12時30分。休憩をしながら午後の行動を検討。変形チムニールートは中央カンテルートに途中から繋がっており、そこまでを今日登って明日中央カンテを登れば、ちょっとインチキではあるが2ルートを登ったことになる。登りは15時までとし、変形チムニーへ向かってみることにした。ただ、2時間でハイライトのチムニー部分まで登られるかは行ってみなければ分からない。
 変形チムニー取付きに移動し、13時登攀開始。最初のアンカーはしっかりあるもの、その後の支点まではかなり遠く、なかなか恐ろしい。やはり中央稜よりは1ランク上のルートのようだ。ビレーポイントが良く分からず、結局50mロープ一杯使って2ピッチでチムニー直下まで来てしまった(本来は4ピッチらしい)。いよいよハイライトのチムニー。垂直というよりはややハングがかっている。「ガイド本にはバック&フットで楽しく登ろうと書いていますよ」とWKB。「絶対楽しめない」と言い捨て、戦地に赴く表情で向かっていった。取付くと確かにいいホールドが所々にある。しかし支点が少なく恐怖感は拭えない。チムニー上部は思い切って左側へ乗り越す。ロープの流れが悪く非常に重い。スリングをもっと長くすれば良かったと思いながら、ロープを強引に引っ張ってビレーポイントに到着。ちょうど15時になっていたが、許容範囲。下に声をかけ上がって来てもらう。セカンドのWKBは結構楽しんで登ってきたようだ。本当はもう1ピッチのトラバースで中央カンテルートに合流するのだが、ここで登攀終了。中央稜の懸垂下降では落ち込んでいたが、この変形チムニーを登れたことに満足。今夜も美味しいお酒を飲めそうだ。
 懸垂下降を今度は順調に下りきり、テールリッジを降り、結局予定通り17時に出合いPに到着した。その後温泉とディナーを取り、プラザで寝酒して就寝。
[6月27日]
 3時50分起床。身支度を終え、出合いPへ。土曜日とあって人は多いが、一番乗りで入渓。今日も暑くなりそうだ。中央カンテ取付きにて準備。6時登攀開始。最初はトラバースから入る。その後つるべで登っていく。途中で昨日の変形チムニーと合流。その上にもチムニーがあった。X級のピッチをクリアし、余裕をこいていたら、なんでもない所で手が滑り、冷や汗。緊張しすぎても疲れるし、だらけていたら危険。程よい緊張感を持続するというのも大事なようである。10時、終了点のテラスに到着。眺めがいいのでセルフを取って食事&撮影タイム。今日南稜を登ってくる予定のLTQ達下越組らしき姿は見られない。(後で聞いたら中央稜に変更し無事登攀を終えたとのこと)。それぞれのルートにぼちぼち人は入っているようである。
 この上も1ピッチだけ一応アンザイレンで登っていった。その後ロープを仕舞ってトレッキングシューズに履き替え、踏み後を辿り一ノ倉岳を目指す。先頭を行くWKBがため息。「やっぱり疲れが溜まっていますね〜」。もちろん私もそうなのだが、今回はただ登るだけでなく体力トレーニングも兼ねているので、これでいいのである。頂上直下は笹薮になっていたが、それ以外はたいした薮こぎでもなかった。最近は稜線へ抜けるパーティが少ないようだが、個人的には若干整備していただけるとありがたく思う。
 12時、一ノ倉山頂着。ちょっと暑いが、やはり稜線は気持ちがいい。下から登山道を登ってきた人や、ロープウェーを使ってきた人、そして我々のような岩登りをしてきた人など、結局どんな登り方をしてきても山頂に着けば気持ちがいいのである。当たり前のことであるが改めて気付かされた思いがした。13時谷川岳着。小屋を拝見した後そのまま下山。水が残りわずかになってきたため、先を急ぐ。厳剛新道に入り、マチガ沢近くになるとやっと水場が現れ、たらふく水を飲み顔も洗った。14時30分、マチガ沢に到着し、2日間の山行を終了した。 
半分夜明け
真中の尾根が中央稜
ちょっと休憩
上の岩壁
ビレーよろしく
晴天です
中央稜上部
今度は変形チムニールート
核心部でした
チムニー近辺
翌日は中央カンテルート
ここにもチムニーが
ルートの様子
烏帽子岩
最後の乗っ越し
終了のポーズ
WXBのニューバージョン?
一応アンザイレン
最後は笹薮