会員の山行 157号の1

【2009年08月15-17日/南アルプス・荒川三山〜赤石岳/木内茂雄調査】

【タイム】 
(8/15)サワラ島8:55〜9:10千枚岳登山口〜9:19吊橋〜10:07送電線鉄塔〜10:34車道に出る〜10:56千枚小屋に4時間半、サワラ島に1時間半の標識〜11;22二回目車道に出る〜12:25清水平〜14:35千枚小屋に1時間の標識〜15:20千枚小屋
(8/16)千枚小屋5:06〜5:36二軒小屋への分岐〜5:56千枚ノ頭〜6:04千枚岳〜7:01丸山〜7:44東岳8:21〜9:14中岳9:29〜9:36前岳、高山裏避難小屋との分岐〜10:23荒川小屋11:15〜11:46大聖寺平〜11:56二つ目の大聖寺平標識〜13:07小赤石岳13:18〜13;29赤石小屋への分岐〜14:03赤石岳
(8/17)赤石岳5:16〜5:28赤石小屋への分岐〜6:39富士見平〜7:27赤石小屋〜7:43赤石小屋まで30分の標識〜8:06 4/5の標識〜8:27サワラ島まで90分の標識〜8:58 2/5の標識9:14〜登山口9:55〜10:00サワラ島
【記 録】
(8/15)
 走行距離630kmには驚かないが、後ろの約80km(清水より畑薙)がカーブ多い山道で、約2時間かかるのには参る。畑薙臨時駐車場からサワラ島まではシャトルバスなので、一番バスでも8時発車でサワラ島に約1時間となり、歩き始めが限られてしまう。
 バスの中からシナノナデシコ、フシグロセンノウ、タマアジサイが見えていたが、歩き出すとフシグロセンノウ、タマアジサイが脇に咲いている。車道まで登り、左は赤石岳方面、右の千枚岳方面に車道を少し歩くと、左のコンクリート壁の上より、キイチゴが赤い実を付けて垂れ下がっているので御馳走になる。10分程で緑の鉄橋に着き、その手前左が千枚岳登山口となる。
 左の小さな滝を見ながら緩やかに登り出す。そして、10分程で吊橋を渡り、いつしか樹林帯を歩いている。鉄塔付近では、赤石の登りでも見たが葉の長い松を見る。何処かで葉の大きいシャクナゲを多く見る。それから、車道を2回横切り、次第にシラビソの樹林帯に変わるが、花が無く、唯、黙々と歩くのみ。そして、いい加減疲れ千枚小屋に近づく頃、カニコウモリ、サラシナショウマ、セリバシオガマ、ゴゼンタチバナ、ミヤマアキノキリンソウが出迎えてくれるなあと眺めて進む。すると、トリカブト、メタカラコウ、そして、マルバダケブキの群生に出会うと、その斜面に千枚小屋の仮設テントが見えた。
 小屋の後ろ斜面は黄色のマルバダケブキにムラサキのトリカブト、白のミヤマシシウドが咲き乱れ、そこに、グンナイフウロ、イブキトラノオ、サラシナショウマ、エゾシオガマ、ミヤマキンポウゲ、ヤマハハコが所謂、百花繚乱である。既に枯れているコバイケイソウは判るが見逃している花や時期が違えば、また違う花が咲き乱れるのだろう。今までの退屈さが一変で吹き飛んでしまう。千枚小屋は6月末に焼失したが、新しい小屋も有り、お盆も終わりなので、混雑も無くユックリ休めた。夜中に雨音がし、明日の天気予報とは違うなあと心配する。
(8/16)
 起床して外を見ると、多少雲が有るが、天気予報を信じ出発する。マルバダケブキが目立つ斜面を登り、風雪に耐えている岳樺を撮りながら進むと、クルマユリ、ウサギギク、ウスユキソウ、トリアシショウマ、ハクサンフウロ、トウヒレン、チシマアマナと花が続々出現する。そして、森林限界になると其処には、何と白花のタカネビランジの大株、小株が多く咲いている。傍を歩いている、昔のお嬢さんが“まあッ、誰にも褒められずこんなに奇麗に咲いていて、私、涙が出ちゃう“と本気で感涙にむせている人達がいる。年齢のせいか、かなり多感の方々である。でも、私もこの花景色の圧巻には感激し、暫くボーッとする。
 これだけではない、その他に、イブキジャコウソウ、ミヤマシオガマ、ミヤマツメクサ、イワオウギ、タカネコウリンカ、オンタデ、タカネマツムシソウ、タカネナデシコ、ミヤママンネングサ、シコタンソウ、ウサギギク、イワベンケイ、イワインチン、ウメバチソウ、ヨツバシオガマ、ミヤマダイコンソウ、チシマギキョウ、キタダケヨモギ?とお花畑を繰り広げている。正に本当のお花畑だと興奮する。そして、天気は雲が無くなり快晴となっている。オマケに雷鳥の親子までが出迎えてくれて、写真を撮る間愛嬌を振りまいてくれる。何も言うことなし。
 見渡せる景色は左に赤石岳を遠望しながら、目の前は千枚岳、丸山、東岳、中岳と疲れを知らずに登ってしまう。途中、ピンクのタカネビランジ、チングルマ、コゴメグサ等も見つける。もう、この辺りでは遠くに御嶽山、霞む北アルプス、中央アルプス、近くの南アルプスは殆ど眺めることが出来る。中岳を降り、前岳との分岐から見下ろすと、荒川小屋がはっきり見え、その向こうには赤石岳が一段と大きく迫ってきている。此処から、荒川小屋までの斜面もお花畑で今はハクサンフウロが目立ち、そこにミヤマタンポポ?ヤハズノハハコグサ、ミヤマコウゾリナ、アオノツガザクラ、イワカガミ、その他書き忘れた花々で楽しませてくれる内に荒川小屋に着く。この下りは南アルプスらしく豪快で50分くらい下りっ放しである。
 小屋ユックリ休憩して1本だけと、350ccに手を出すが残り少なくなったところで、単独行の若い女性に気を取られ引っくり返してしまう。一時呆然、でも、気を取り直して、そこは、もう1本追加する荒川小屋には旧小屋も有り、その内部は約40年前に暴風雨で停滞した時の記憶が蘇る。
 天気は飽くまでも良く、疲れも無く、大聖寺平へと緩やかに登って行く。この平は霧だと迷い易いのではないだろうか、標識が近くに二つも有るのはそのためだろうか?
 そんなことを考えながら、小赤石岳への登りとなる。いくら天気が良いとは言え、流石に疲れが蓄積されたのか、山頂に着くまでの時間が長く感じる。しかし、チャンと御褒美が待っていた。山頂近くで又、又、雷鳥親子が出迎えてくれる。出鱈目な啼き声で呼んでみると傍まで来て写真を撮る間ウロチョロと歩き回ってくれる。一度、親鳥がミミズを啄ばむと、雛が素早くそれを横取りする。それに対して親鳥は怒る様子も無い。餌の取り方でも教えているのか、人間社会の特殊の人種とは一寸違うようだ。
 小赤石岳というから標高が低いかと思えば3千米は超えている。ますます近くなっている赤石岳に向かい少し下り最期の登りとなる。たった10分位の登りなのにつらい登りとなる。そして、山頂に立てば、直ぐ下には懐かしい赤石避難小屋である。小屋には1カ月前に有った管理人が人懐っこく待っていてくれた。まずは一杯飲んでから、ミネズオウを探しに少し下り、雪解けが一番遅かったような窪地を探し、直ぐに見つける。1か月前に撮ったのは殆どピンボケだったので20枚位慎重に撮るがなかなかピントが合わない。その他、チングルマ、ミヤマシオガマを見つける。
 夜早くには久し振りに会った管理人、登山客と和やかに会談し、かなり、飲み過ぎてしまったのに気づいたのは翌朝である。
(8/17)
 言葉通りの満天の星から朝日に変わるのを山頂で眺め、慣れた道を赤石小屋へと目指す。分岐から右に下って行くと、斜面の花畑は様変わりしていて、ミヤマキンポウゲの花畑とハクサンフウロとグンナイフウロが終わろうとしていて、少し寂しい景色だが、これからはトリカブトと秋の花になるのだろう。それから赤石小屋を過ぎてから、樹林帯の中でセリバシオガマが多く目立った以外は前回と同様なので省略する。

サワラ島の旧クラブハウス
サワラ島の旧クラブハウスの説明書き
タマアジサイ
タマアジサイの蕾
フシグロセンノウ
キイチゴ
千枚岳登山口
登山口に有る滝
吊橋
鉄塔
葉の長い松
途中の標識
清水平
不明
木馬道跡の説明書
古い伐根と樹木説明
木馬道起点の説明書
セリバシオガマ
メタカラコウ

続く⇒