会員の山行 194号

【2010年07月17-19日/南アルプス:聖岳〜赤石岳/木内茂雄調査】

【タイム】
(7/17)畑薙バス停10:03〜10:57聖沢登山口11:06〜12:22聖沢吊橋12:37〜13:31造林小屋跡13:41〜14:24乗越〜14:51水場〜15:03二回目の吊橋〜15:17沢(お花畑)〜15:26滝見場15:57〜16:21慰霊碑〜16:33水場〜17:09聖平小屋
(7/18)4:28夜明け、聖平小屋5:23〜5:26上河内岳との分岐〜5:49西沢渡との分岐〜6:43小聖岳6:51〜8:05聖岳山頂8:34〜奥聖岳〜9:28聖岳9:35〜10:20兎岳基部(鞍部)10:36〜11:32兎岳11:45〜12:27小兎岳12:50〜13:42中盛丸山13:50〜14:04百間洞への降り口〜14:50百間洞山の家
(7/19)百間洞山の家4:46〜5:44百間平〜6:24赤石岳基部(鞍部)〜7:26赤石岳避難小屋7:45〜赤石岳山頂7:58〜8:12下山口〜9:22富士見平9:32〜9:54赤石小屋〜12:13登山口〜12:18サワラ島
【記 録】
(7/17)
 梅雨明けはほぼ間違いなしと、信じて630kmを走り、車を畑薙の駐車場に停める。頭上からの日差しが暑い中、身支度をする。バスに1時間揺られて聖沢登山口に着く。時間は既に11時を過ぎていて、こんなに遅い歩き始めは始めてだ。
 幸い檜林の中の斜面を登って行くので、暑さは凌げる。その檜、各々に何本も細い紐が巻かれている。想像するに鹿に皮を食べられない仕掛けの様だ。20分も登ると尾根筋に出て、更に20分程登るとなだらかになり、やがて、緩やかに下って行くと、何処からか雑木林に変わり、40分程で吊橋に出る。傍らにミヤマオミナエシが咲いている。
 吊橋を渡りと其処に2,3の先行パーテイが休んでいる。私も、まず腰を降ろし、栄養補給をする。此処から約1時間登って行くと、少し平らになり造林小屋跡に着く。一服後、緩やかに登って行くと、石楠花が出始め、中には5mも有る大きなものが有る。そして、花も咲いている。その他にイワウチワ、イワカガミの葉を見つけていると、雰囲気に合ったギンリョウソウが出現する。
 そんな花等を探しながら、40分強登ると乗越に出る。目の前は落ち込んでいて、その向こうの大きな尾根の肌には滝が見える。此処で3回目の休憩をしてから、先を急ぎ、ゴゼンタチバナ、岳樺を眺めて行くと約30分で小沢を渡る。此の後直ぐに又、小沢を渡り、やがて、2回目の吊橋を渡る。此の辺りにはヤグルマソウが群生している。その他、カラマツソウを眺めながら3回目の小沢を渡るので水場に不自由しない。
 更に4回目の沢は大きく、此の辺りが花畑らしいが、イブキジャコウソウ、キジムシロ、ウスユキソウを少し見掛けるだけである。その先、滝見場では滝も見えるが、その向こうには聖岳が見える。此処まで我慢してきた350ccに手をつける。(後でダルクなってしまった。)その先、登山道は聖沢に向かい、なだらかに下って行く。
 見た物を羅列するとトリカブトの葉、ズダヤクシュ、慰霊碑、トリアシショウマ、オサバグサ、ヒメイチゲ、グンナイフウロ、ハリブキの葉、コバイケイソウの葉、セリ科の花、不明な花、ミヤマキンポウゲ、チョウジギク等である。何時しか道は左に聖沢を見ながらアオモリトドマツの林を歩き、緩やかな登りとなっていく。小さな橋の架かった沢を右に左にと7回位渡り小屋はまだか、まだかと思っていると、微かにエンジン音が聞こえてくる。そして、人声がするなと思う間もなく目の前が開け、向こうに登山客が行き交う聖沢小屋が見える。小屋は3連休の初日にしては空いていてユックリと寝れた。
(7/18)
 夜中に起きて、空を見上げると満天の星で、梅雨明けを確信する。快晴の夜明けの中、小屋を出発する。数分で木道の広々したところに出で、直ぐに左から上河内岳、茶臼岳本面の道が合流して来る。青空に上河内岳がクッキリと立っている。道を右にとり、20分で左から西沢渡よりの道が合流して来る。周囲は花畑の雰囲気であるがトウヒレン、マルバシモツケ、ミヤマキンバイ、グンナイフウロ、クチバシシオガマ等が少し有りだけである。そして、カラマツソウの群生地が有り、鹿害除けに網で囲われている。
 小聖岳まで一気に上って行くと周囲の山々が見えるようになる。振り返ると遠くに光岳らしき山が見える。そして、御嶽山らしき山、眼下には聖沢小屋が見える。足元を通過する花々は、ウスユキソウ、キバナノコマノツメ、シナノキンバイ、ツマトリソウ、マイヅルソウ、そして、これからのリンドウ、コバイケイソウの群生、マルバダケブキの群生、ハリブキの棘等である。このハリブキの葉をつくづくと見ると、葉の正面に数十本の棘が直立している。触ってみると痛いことが判り、名前の意味を納得する。
 小聖岳に着くと目の前は青空に堂々と聖岳が正座していて、こらからの登りに元気付けてくれる。そして聖岳を登って行くと花々が出迎えてくれる。記憶したものでチングルマ、コイワカガミ、ミヤマキンポウゲ、キバナシャクナゲ、ミヤマシオガマ、イワベンケイ、サマニヨモギ、アオノツガザクラ、イワツメクサ、ミヤマオダマキ、オヤマノエンドウ、ミネズオウ、ミヤマダイコンソウ、不明種等である。
 それらに目を奪われて居る時、ふと、右向こうを見上げると、いつの間にかあの富士山が青く、そして、裾野を左右均等に広げている。その偉容に感激しながら、かつ勇気づけられ、聖岳山頂に立つ、頂に立っても富士山は変らない。
 そして、それこそ、360度の大パノラマで加賀白山、恵那山、御嶽山、中央アルプス、北アルプスは槍、穂高、白馬岳、手前に赤石岳、その向こうに仙丈岳?北岳、甲斐駒岳は隠れている、そして、八ヶ岳と全く地図の通りである。傍にはイワウメが満開で早速カメラを向ける。
 それから、奥聖岳までピストンしてくるが、キバナシャクナゲ、ハクンイチゲ、コイワカガミ、イワウメ、その他、兎に角一杯有り感激してスキップする気分になる。。そして、その写真撮りで、なかなか先に進めない。かなりの時間を要して、聖岳に戻ってくる。(絶好の写真が撮れたと感動したが、帰ってきて見た所かなり失敗していた。もう少しカメラに慣れないといけない。しかし、もう、このコースには来れないだろうと思うと残念である。)
ただ、天気に恵まれ大変気分が良く、駄作を二句詠んでんでみる。
  “道道に 眺め眺めて 花を撮り”
  “アルプスで 喘ぎ足止め 花を撮り”
 そして、兎岳へと徹底的に下って行く。兎岳基部まで45分下ってやっと鞍部に着く。此処までに花は余り無く、ショウジョウバカマ、ハクサンイチゲ、タカネバラの葉等を見つける。鞍部からは登り返しで振り返ると聖岳が大きく、これを、登るのはかなり大変だと思う。
 兎岳登りも長く、兎岳避難小屋跡を通過して兎岳山頂まで約1時間かかる。此処までに見つけた花は、ベニサラサドウダン、ミヤマツメクサ、イワベンケイ、等である。相変わらずの快晴の中、山々を眺めながら、小兎岳目指して下り、又登る。
 小兎岳を登り返し、再び中盛丸山基部へと下って行く。基部から見上げる中盛丸山は名前とは違い鋭く尖って見える。右側直登は岩稜になっているので、暫く左に巻きながら登る。山頂近くになって、後ろでガサット音がしたので振り返ると、今通って来た登山道で、雷鳥が砂遊びをしている。少し離れた所からカメラを向けるが驚くことも無く無心に砂遊びをしている。少し霧が出たり、人間が傍にいるので外敵を気にしないのだろう。
 山頂までに見た花はコイワカガミ、チングルマ、ミネズオウ、シナノキンバイ、ハクサンチドリ、ツガザクラ、ヒョウタンボク、ミツバオウレン等である。中盛丸山山頂では霧が出始めていたので、余り遠景はみられないまま百間洞への折口へと下る。12分位下り後ろを振り仰ぐと、中盛丸山が本当に丸く見える。2分くらい大沢山に向かい登り、そして、右に降りる。
 此の登山道は大沢山の山裾を巻いて行くので緩やかである、しかし、意外と長く46分要して百間洞山の家に着く。此処までの見た花はヒメイチゲ、ミヤマハンショウヅル、ハクサンフウロ、グンナイフウロ、ナナカマドなどで有る。それから、道が余りにも緩やかで余裕が有り、退屈なので、小屋に着いてからの基本動作方針を決め、また、駄作一句を詠む。
  “小屋に着き 一息つかずに 手にビール”
小屋に着き時間が有るので外に出て見ると、ミヤオダマキ、シナノキンバイ、ナナカマドの花を撮る。そして、直ぐ傍に展望台有りそこに歩いて行くと1,2分で聖岳が良く見える。小屋は新しく、こじんまりしているが、それ程混まずに寝れた。
(8/19)
 夜中は満天の星で、今日も快晴間違い無しと気分良く出発する。小屋の前に流れている沢に沿い、百間平に向って数分登るとテント場が3張り分有り、その先で左より大沢山からの道が合流して来る。そして、本格的なテント場も有る。小屋から大して時間がかからないが、疲れている時は最後の登りはつらいだろう。
 1時間近く登って行くと、朝日に輝く百間平らに着く。周囲の景色は名前の通り平らで、赤石岳が向こうに良く見える。そして、周囲はお花畑の雰囲気で見つける花は、クロユリ、チングルマ、ミネズオウ、ヤハズノハハコグサ、ミヤマキンポウゲ、ハクサンチドリ、シナノキンバイ、ハクサンイチゲ、キバナノコマノツメ等である。
 緩やかな登りなので、赤石岳の基部まで一気に歩く。その間、左側には遠く槍,穂高が見える。基部からは大小の岩が堆積された登山道が右に大きくトラバース気味に登って行く。この登り途中からお花畑が始まる。
 そして、赤石岳避難小屋が見え出すと平らなカール状になり更にお花畑が出迎えてくれる。約1時間で赤石岳避難小屋に着く。昨年2度も来ているので懐かしい風景だ。キバナシャクナゲを期待して来たが、もう、終わりかけで余り無い。ミネズオウは幾らか有りカメラに納める。ミヤマシオガマも咲いている。
 赤石岳から下る時、何種類かの花々が朝日に輝き素晴らしいお花畑で見とれる。此処も2度と来れないか思うと、それこそ、髪の毛の無い私の後ろ髪が引かれる。
 後は昨年2度も記録しているので省略する。特筆するとすれば、残雪が多い事、沢筋を下る時、クロユリを見つけられなかった事、富士見平で最後の富士山が見られた事である。
 今回は三日間写真を撮りまくり、約600枚の整理に時間を多く要して、これに疲れた。

登山口
聖沢登山口
登山口に有る案内板
檜に鹿除けの紐
ハシリドコロの葉
途中に有る標識
造林小屋跡の標識
ミヤマオミナエシ
造林小屋跡の標識
シャクナゲ
乗越の風景
乗越で滝を眺める
ギンリョウソウ
岳樺林
カラマツソウ
二回目の吊橋
ヤグルマソウの群生
何セリ?
イブキジャコウソウ
ウスユキソウ
キジムシロ
滝見場
滝見場より聖岳望む
途中のシャクナゲ
トリカブト
オサバグサ?
ヒメイチゲ
不明
慰霊碑
コバイケイソウ
何の花
グンナイフウロ
チョウジギク
聖平小屋
聖小屋の看板
聖冬季小屋
聖小屋前にて聖岳を望む
夜明け
聖小屋前風景
聖平の植物の説明
聖小屋前にて朝の風景
聖小屋は快晴
トウヒレン
聖平分岐にて上河内岳
マルバダケブキの蕾
リンドウの葉
何イチゴ?
ミヤマキンバイ
保護されているカラマツソウ

続く⇒