会員の山行 221号

【2011年07月17-18日/北アルプス:白馬岳〜不帰の嶮〜唐松岳〜八方尾根/木内茂雄調査】

【タイム】
(7月17日)猿倉山荘4:53〜5:04鑓温泉登山口分岐〜5:26車道終点〜5:45白馬尻小屋〜7:22大雪渓終わり7:30〜8:12小雪渓8:23〜8:36避難小屋〜8:57ウルップソウ現れる〜9:42村営白馬岳頂上宿舎〜9:52稜線分岐10:15〜10::30白馬山荘〜10:47白馬岳山頂〜10:57白馬山荘〜11:06稜線分岐に戻る11:08〜12:16杓子岳山頂〜12:26巻き道に合流〜13:35鑓ケ岳〜13:58鑓温泉への分岐〜14:31天狗山荘
(7月18日)天狗山荘6:22〜6:44天狗の頭〜7:06天狗の大下り〜7:30最低鞍部〜8:37不帰U峰の北峰〜8;51不帰U峰の南峰〜9:33唐松岳〜9:49唐松山荘10:09〜11:23八方池〜11:34八方ケルン〜12:00リフト乗り場
【記 録】
 猿倉登山口の駐車場はかなり混むと聞いて居たので、前日夜9時に来てビールを飲んで車中泊する。後で登山客に聞いたところ夜中の12時頃には満車になり、止められず下に降りてタクシーで来たとのこと。
 夜明けと共に食事をして、山荘のトイレを使い外に出ると早、並び初めている。少しジグザグの山道を登ると車道に出る。10分も歩くと左に鑓温泉方面の標識が有る。途中、かなり高い所に稜線が見える。車道を50分も歩くと登山道になる。間もなく木道を歩くがそれもそれほど長く無く、普通の登山道になる。見つけた花はメタカラコウ、ニリンソウ、ミゾホウズキ、カラマツソウ、キヌガサソウ、ヤグルマソウ、シギンカラマツ、サンカヨウ等である。花を眺めながら50分歩くと白馬尻小屋が見え、その向こうには大雪渓が続いている。そろそろと登山客が動き始めているのを見ながら、休まずに雪渓の上に乗る。傾斜が緩いのでアイゼンは要らない。雪渓の上を見上げると稜線が青空にクッキリと線が引かれている。途中、上の方で大きな声が聞こえ、間もなく、大きく長細い石が軍艦の様に滑り落ちて来た。比較的傾斜が緩いので余裕を持って見送る。
 大雪渓を一気に登り切り、休憩しながら、下を見ると、登山者が行列をなしている。此処から、暫くジグザグに登って行くとイワオウギ、ハクサンチドリ、ミヤマキンポウゲ、ミヤマクワガタ、ハクサンフウロ、ミヤマガラシ、シナノキンバイなどが見られる。40分も登りながら花を楽しんで行くと又、残雪に出る。結構な急斜面をトラバースするので、4本爪アイゼンを念の為付け、更にストックも取り出して歩き出すが、小屋の管理人の人達がステップを切って有るので歩き易い。この状態で有れば何も要らない。でも、数分の距離だがステップが切られて居ないと、道具と技術と慎重さを求められる。
 ここで話をかえるが、"よく飯豊連峰の石転び沢に始めて来る人が、「白馬大雪渓を登って居るので問題無いでしょう。」と聞いてくるが、難しさのレベルが違うことを理解してから来てもらいたい。それは、石転び沢の場合は上部に行く程傾斜がきつく、雪上技術を求められるし、落石の落下速度が速いと言う事で素早さを求められる。又雪が少なくなってくると、沢がV字になっているので、その時々の状態に対応(例えばクレパス)が必要であると言う事を念頭に置いてもらいたい。
 話を元に戻し、小雪渓を通過して10数分登ると左に避難小屋が有り、更に登ると今回の目的であるウルップソウに初めてお目にかかれた。そして、この花は稜線に出て、白馬岳から天狗の頭辺りまで咲いている。それも、栄養分の無い砂礫の地にも咲いて居るのには感心する。唯、時期はそろそろ終わりかけである。登山道は高山植物保護の為、ロープが張られていて、遠くに有る色々な花に近づけず、望遠で撮る時も有る。この辺りで見た花はベニバナイチゴ、ミヤマオダマキ、ムシトリスミレ、ミヤマコイワアカバナ、タンポポ、キバナノコマノツメ(或いはクモマスミレ?)で有る。そして、村営白馬山頂宿舎を通過して、間もなく、稜線に出ると右向こうには白馬山荘、更にその上に白馬岳が特徴有る姿で聳えている。目の前遠くには剣岳が見え、左には杓子、鑓が見える。この雄大な景色を暫く満喫し、ビールを飲んでから、空身で白馬岳を目指す。だが、疲れが出て来たのか、緩やかな傾斜もきつい。どうにか白馬岳山頂に着き、写真を撮り引き返す。
 下りは得意なので、鼻歌混じりでミヤマキンバイ、ヤハズハハコグサ、ミヤマダイコンソウ、ミヤマシオガマ、オヤマノエンドウ、ハクサンイチゲ、そして、何回もウルップソウを撮る。視線を上にすると、遠くの景色は剣岳、杓子、鑓がよく見渡せる。置いたザックに戻り、直ぐに天狗山荘へと目指す。天気は快晴で、さほど大きくない起伏の稜線歩きで、これから行く杓子岳、鑓ケ岳を眺めながらの稜線漫歩である。そして、今回の目的であったウルップソウは稜線上点々と天狗まで続いて咲いている。その花は満開を過ぎようとしていて、天狗山荘近くで一株だけ少し蕾みが残っていた。杓子岳の基部に着いて、右に巻いて行く道に誘惑されそうで有ったが、これを登らなければ白馬三山を登った事にならないので、重い足を左の登りに向ける。余り人が登らないのか石がゴロゴロした不安定な登りで花も咲いていない、味気の無い山だ。山頂からは平らに進み、右に降りて巻き道に合流する。その先、一端下ってから鑓ケ岳の登りとなるが、疲労が増して来ていて、呼吸を整えながら登る。山頂は登山道から左に外れ、数分歩いた所に有る。此処までに目立った花はイワオウギ、ミヤマクワガタ、シコタンソウ、ミヤマアヅマギク等である。山頂から20分強下ると左に鑓温泉方面の標識が有る。此処から地図では20分とあるが、30分程かかり天狗山荘に着く。余程疲れているのか、、、、、。小屋手前で残雪を右にトラバース気味に下る。小屋は思惑通り空いていて4人分を確保出来てよかったが、寝具は全部湿っていた。
(7月17日)
 今日も快晴で、山荘前の池畔でウルップソウ、ハクサンイチゲを撮り出発する。少し歩くと一輪だけコマクサが咲いていたのを撮る。それと、山荘で見た写真のクモマスミレと遠くに霞んで見える富士山を撮る。天狗の頭に出ると其処には、これから"天狗の大下り"と標識が有り、休まず好きな下りを一気に降りてしまう。そして、見上げると"不帰の嶮"がゴツゴツと聳えている。一服してからおもむろに歩き出し、やがて、不帰U峰の北峰に取り付く。これも好きな岩場なので、何の抵抗も、迷いも無く登ってしまう。設置されている鎖はルート案内に便利で、使用しなくてもフォールド、スタンスがしっかりしているので3点確保が出来る人には問題無く登れる。次に不帰U峰の南峰はそれほどの難しさは無く草付きの多い岩場である。その次の唐松岳の登りは普通の登りで山頂に着く。
 此処は八方尾根から来る人達で賑わっている。早々に山頂を後にして、見えて居る唐松山荘に向かう。途中でコマクサが何株か咲いている。山荘では待望の冷えた生ビールを買い、最高の至福の一時を過ごす。何と言っても"感無量"とはこの事である。相変わらずの快晴の中、今来た唐松岳、その左遠くに剣岳、そして五竜岳と眺めながら爽快さに余韻を残す。後は八方尾根へと下り出すと続々と登山者が登って来て、何回も何回も通過を待たなければならない。時にはバスツアーで来たかと思うほど行列で来るのには閉口する。少し登山道が広くなれば、不安定な石の上を飛びながらすれ違う。そんな事を繰り返していて、一度スッ転んでしまった。幸い膝の擦り傷で済んだ。その後も八方池辺りは、お祭りでないかと思うほどの人が居て、その先の木道は上下線が行列である。スピードが遅いので、両方の空きを狙って、際どく割り込みをして下る。一般客からは馬鹿かと思われたかも。そんな中でも見た花はシラネアオイ、マルバシモツケ、シモツケソウ、ニッコウキスゲ、ツガザクラ、アオノツガザクラ、ツマトリソウ、ゴゼンタチバナ、ベニバナイチゴ、クルマユリ、コイワニガナ、タテヤマウツボグサ、タカネバラ、チシマギキョウ、イブキジャコウソウ、コバイケイソウ、ワタスゲ等である。そうして、人を縫ってやっとの思いで下山用のリフト着いた。この3連休と、この時間帯は工夫しないと何時帰れるか分からないと思う。後は、大町市に居る40数年来の岳友に電話して下に迎えに来てもらい、夜はその友宅でユックリとアルコール浸けにしてもらう。

猿倉駐車場
猿倉山荘
途中の石碑
車道終点
木道
メタカラコウ
ミゾホウズキ
カラマツソウ
キヌガサソウ
ヤグルマソウ
レイジンソウ?
シギンカタマツ
ニリンソウ
白馬尻小屋が見える
サンカヨウ
白馬尻小屋近づく
白馬尻小屋と大雪渓
キヌガサソウ
大雪渓始まり
青空の下の大雪渓
大雪渓を見下ろす
登山道を見上げる
雪渓は大行列
イワオウギ
ハクサンチドリ
ミヤマキンポウゲのお花畑
ミヤマクワガタ
ハクサンフウロ
ミヤマガラシ
シナノキンバイ
小雪渓
小雪渓を振り返る
村営小屋手前の避難小屋
稜線が見える
残雪を見上げる
横は残雪
ベニバナイチゴ
ニュウスタイルで決める
シナノキンバイのお花畑
ウルップソウ現れる
キバナノコマノツメ
ミヤマオダマキ
ムシトリスミレ
注意書き
不明
ミヤマシオガマ
村営白馬岳頂上宿舎
村営宿舎より望む杓子、鑓ケ岳
村営宿舎を見下ろす、向こうは杓子、鑓
稜線
白馬岳を見上げる
剣岳が見える
ミヤマダイコンソウ
ミヤマシオガマ
オヤマノエンドウ
遠く剣岳を望む左杓子、鑓
左から杓子、鑓、遠く剣岳
白馬山荘
コマクサに対する注意書き
白馬山荘上にある石碑
白馬岳を見上げる
白馬岳山頂間近
白馬岳山頂
白馬岳山頂より白馬鑓ケ岳を望む
白馬岳山頂より剣岳を望む
ハクサンイチゲ
山頂近くにある松沢貞逸氏の記念石碑
松沢貞逸氏記念石碑

続く ⇒