会員の山行 226号

【2011年09月16日/谷川岳:マチガ沢周遊/吉田岳調査】

【コース】
 パークプラザ−マチガ沢遡行−シンセン沢左股−東尾根―オキの耳−マチガ沢−本谷下降−南東稜登攀−オキの耳−西黒尾根−パークプラザ
【概略】
 山仕事を終え、帰宅してから大慌てで山の準備を行い、19時30分にWKBと小国町を出発。予定通り水上IC手前の谷川岳PAにて車中泊を行った。今回は一年ぶりの谷川岳となる。2日間の山行計画を組んだのだが、天気予報の急変で、結果的に1日だけの山行となった。
 3時30分に起床。ICを下り、コンビニで食料を調達し、谷川岳ロープウェー駅のパークプラザに駐車する。夜間利用が可能だったロビーは閉鎖されているようである。準備を済ませ4時50分出発。しばしヘッドライトを点けて林道を歩いていった。今年からは一ノ倉沢出合までの林道は平日も一般車両の通行禁止が敷かれている。一番奥にある幽ノ沢に入る計画を、手前にあるマチガ沢に変更したのはこのためである。30分でマチガ沢出合に到着。トレッキングシューズから渓流足袋に履き替え、そのまま本谷を遡行していく。と言ってもほとんどが枯れ沢になっていた。歩きやすいが、風景的にちょっと寂しくはある。S字峡、大滝を問題なく越え、四段の滝のところで小休止。ここで天気予報を携帯電話で見てもらうと、今日は天気が持つが、明日は水上も湯沢町も一日雨の予報に変わってしまった。こうなったら今日の山行を充実させるしかない。マチガ沢遡行から東南稜登攀というもともとの計画に、シンセン沢左股遡行を加える事にした。シンセン沢は30mほど手前にあったやや藪になっていた小沢がそれのようである。引き返して沢に取り付いてみると、残置スリングやハーケン、昔の缶のプルタブなどがあったりして、けっこう利用されていた感じであった。昔は東尾根の冬期登攀のアプローチに使われたようだが、今も夏時期の東尾根登攀に使う人も意外といるのかもしれない。右股からシンセンのコルに向かう易しいルートがあるらしいがよく分からなかった。左股の小滝やゴルジュを快適に越えていくと、W級とされるクラックの岩場が出てきた。クライミングの準備に取りかかる。何本か走っているクラックのラインを選びながら登り、割れ目に挟み込んで支点にする器具カムをリュックから出さなかった事を後悔しながらも、けっこう楽しむ事ができた。登った所が広河原という場所で、ここからシンセンのコルに抜けるルートがあるらしいが、良く分からない。左股を少し登った所から右手に抜けていく事にした。悪い事にガスがさらに濃くなり、視界が効かない。尾根のように見えた所はダマシ尾根でどんどん斜面が続いていく。やっと尾根に出たところに、踏み跡が付いていた。ここから下がっていくとシンセンのコルに降りられそうだが、傾斜が急で足場も悪く、下っていく自信がない。「ここって東尾根だべか?」「こんなに急だったっけ?」「冬来た時もガスかかっていたからなー」「どっちにしろこの尾根を登っていくしかないべー」、などとWKBと話し、登攀を続けた。所々に岩がありけっこう面白い。やはりここは東尾根のようだ。標高をグングンと上げていくと、オキの耳に到着した。
 このまま登山道を降りて行ったのでは面白くない。時間はまだあるし天気もいい。マチガ沢源頭部から本谷を下降し、東南稜を登り返すということにした。ただ本谷を降りられるのかはよく分からない。それっぽい所の草付きを下降していく。草付きはトレッキングシューズでは滑りやすい。今回、トレッキングシューズと渓流足袋とクライミングシューズを持参したが、「さらにスパイク地下足袋も持ってくると完璧だったなー」などと話す。沢部に入ると傾斜が急になり、慎重にクライムダウンをしていく。どうもクライムダウンはWKBの方が得意のようで、AXLはビビリながらもへっぴり腰でWKBの後を付いて行った。要の滝を懸垂下降で下ると、テラスに出て、左手にピトンが打たれた岩稜がでてきた。ここが取付きのようだ。クライミングの準備にかかる。
 ここは、1ピッチ目の中間部分が核心部のようだ。W級と思い少しあなどっていたが、支点が腐れかけたハーケンの物が多く、「落ちたら止まんねーんじゃない?」と思うと、なかなか一歩が踏み出せない。覚悟を決めて何とか1ピッチ目をクリアした。2ピッチ目はWKBがリード。これも出だしの所が意外と難しかった。3ピッチ目は快適なリッジをロープ一杯登り切った所で登攀終了。ロープをしまい、草付きを10分ほど登ると、再びオキの耳に到着した。ロープウェーで登ってきた登山者が意外にも多かったので、人気の少ない所で一服とした。時々晴れ間が出るが、相変わらず展望はイマイチである。
 13時、オキの耳を出発。後は一般道の国境稜線、西黒尾根を下山するだけだが、さすがにスピードが上がらない。所々で振り返って登攀してきたルートを確認するが、上部はガスの中でよく分からなかった。15時30分、プラザに到着。温泉に寄り、帰路に着いた。変則的なルートとなったが、登攀を堪能することができた。2日目に予定していたルートは、来年度に持ち越しである。

マチガ沢出合
遡行開始
岩、落ちてきそうだな〜
これだよ、これ!
シンセン沢右・左股分岐
AXL、目指すは左の沢だよ〜
よっこらしょっと
ひえ〜
怖い所はロープを出しましょう
クラック壁に向かいます
私も登りまーす
イエイ
たまに晴れるとこんな景色が
東尾根上部
南東稜を登り返します
2ピッチ目をリードし御満悦
3ピッチ目は快適なリッジ
シンセン沢と東尾根のコース
南東稜はこの辺り