会員の山行 276号

【2013年03月17日/谷川岳一ノ倉沢左方ルンゼ/吉田岳調査】

 4時15分ベースプラザを出発。ヘッデンを点けて昨日往復して来た道を再び歩く。昨日の積雪は5cmほど。風がまだ結構強いが、徐々に止む事を期待する。雪崩的には風があったほうが危険度が低く、安心感がある。5時10分一ノ倉出合通過。先行客の踏み跡を辿り、右岸沿いに歩いて行く。本流はデブリがひどく歩きにくいようだ。一ノ沢出合で休憩を取り、アイゼンを履く。6時15分、左方ルンゼ取付き到着。2組の先行客がいるようだ。少し待ってから、WKBのリードで出発。先行客の落氷が気になり、慎重に登っている様子。その後、つるべで3ピッチ登り、一旦ロープ解除。氷瀑はⅣ+級ほどで、そう難しくはなかった。最後のチムニー滝は、ちょっとだけスリルングを味わえた。その後、2ピッチほどスタカットで登った後、ロープを解除して中間稜への雪面を登っていった。
 9時30分、中間稜に出た。ここからはやせ尾根の雪稜登攀となる。下手には、何組かの中間稜を登ってきている人達が見えた。右手は有名な三スラ、何時雪崩れてもおかしくいない形相である。20分ほど歩くと先行組とぶつかったため、休憩を取り、時間調整しながら登っていくこととなった。東尾根合流手前で彼らを抜かせていただき、東尾根からは立派なトレースを辿っていった。第二岩峰はロープを出さずに下側を巻き、最後の直登へ。ここも左手に巻き道が付いていたが、ここは直登してポコッと山頂に出て、ロープウェーで来た一般登山客達がいる世界とのギャップを味わうのが魅力の一つ。実際今回もこの華やかな世界に順応できるまで10秒ほどタイムラグがかかった。12時30分、オキの耳登頂。写真を撮り、休憩は少し降りた風のあまり当たらない所で取った。
 登攀具を外して下山開始。トマの耳から西黒尾根へ。途中一回休憩を取ったが、雪の柔らかさがちょうど歩きやすく、大股でグイグイ降りてきて、最後は尻セードで滑り降り、14時10分にベースプラザ到着。とほぼ同時に電話が鳴った。出てみるとなんと谷川岳登山指導センターから。「やべー、計画書提出に不備があったのかな・・・」と心配したが、今日また中間稜で滑落事故があり、何か知っている事がないかの問い合わせだった。現在下の立木に引っかかっているとのこと。知っている情報を15分ほどお話した。今年はアルパインクライミングでしかも若い方の遭難事故が目立つ気がする。フリークライミングの延長で、冬山経験があまり無いうちにチャレンジする人が増えたのか・・・。なにはともあれ、意欲のある方の事故はもったいないし残念だと思う。もちろん何時自分がそういう目に合うのか保障はないのだが。
 なかなか来られなかった積雪期の谷川登攀を連続で2ルート登り終え、大満足で帰路に着いた。
左方ルンゼ氷瀑1P金野
左方ルンゼ氷瀑2P吉田
左方ルンゼ上部
中間稜下手を見下ろす
三スラ上部方面
三スラ下部
中間稜登攀中のWKB
中間稜上部の痩せ尾根
何の舞い??
東尾根第二岩峰直下
東尾根最後の直登
頂上直下の雪庇を潜る
頂上の華やかな世界
トマの耳にて

 おわり