会員の山行 第369号

【2016年05月05日/粟ヶ岳/井上邦彦調査】

 6月4日に粟ヶ岳でトレラン大会が開催される。登山口からいっきに標高差1,100mを登り切るバーティカルレースである。過日トレランのフォーラムにパネラーとして参加させていただいた縁で、松永紘明氏から「安全対策について助言して欲しい」との連絡があった。話しを聞くと以前行われていた国民体育大会山岳縦走競技と同じような内容である。飯豊連峰で国体が実施された時、私は梶川尾根の成人縦走競技で副主任審判員を務めている。
 トレラン大会がどのような形で実施されているのか興味があったので了承し、今回、新潟トレラン普及委員会の長嶋良男氏に案内していただき、粟ヶ岳を歩いてきた。新発田市の月岡温泉近くで待ち合わせをし、彼の車に載せていただき、トレラン大会の運営についてレクチャーを受けながら五泉市経由で登山口に向かった。
 当日は山開きで沢山の車があり、途中で私をおろした彼は下の空いている駐車場まで戻り、走って追いかけてくるとのこと。私はWザックでゆっくりと登山口に向かった。正面に粟ヶ岳を仰ぎながら、水の張られた田んぼの中の舗装路を進むと、ほどなく長嶋氏が追いついてきた。
 08:07登山口の駐車場に山開き受付の机があり、ここで若干残っていた御札をいただく。登山口には2階建てのバイオトイレがあった。今回登ったコースには円柱を斜めに切ったような標識があり、それによると登山口が2合目になっていた。
 林道を進むと沢沿いの山道になる。この辺りは追い抜き禁止区間になるかもしれない。鉄骨に金網が張られた橋を渡り、いよいよ登りになる。長嶋氏に先を歩いてもらい、私は彼のペースを学びながらついて行くことにした。
 山道が水平になると小沢を横切るが、足元がすっぱりと切れた滝(猿飛滝)となっていた。この付近も2つめの追い越し禁止区間になるのだろう。新緑のブナ林の中、高度を上げていくと参加者の方々に追いついた。爽やかなブナ林であるが太さからみると二次林であろう。火口壁のような風貌を持つ守門岳が見えた。
 長嶋氏のペースは一定しており歩きやすい。呼吸が乱れることもなく会話をしながら登って行く。先行者がいればペースを落とし、相手が道を譲ってくれればお礼を言って先に行かせていただく。私の感覚では脈拍90/分前後だろうか。
 08:51薬師の水場に立ち寄り確認し、09:01粟薬師に到着した。山小屋の前には杉木立に囲まれた広場があり、祠に手を合わせる。小学生の部はここがゴールになるとのことである。
 鎖場を確認する。埋め込みボルトにシャックルで鎖が取り付けられていた。時折ホームセンターで売っている安物のシャックルが使われていることがあるが、それでは危険である。しっかりとJIS規格で強度のあるものであって欲しいが、どちらなのかはわからない。ただボルトに触れてみると、指で簡単に回るナットがあった。
 09:18天狗の水場を確認する。大会当日の天候によっては熱射病や低体温症が危惧される。具合の悪くなった選手を風や外気温から遮断できる用具や、状況によって体温を下げたり上げるための水やお湯の確保も必要だろう。
 09:31視界が広がり山頂と眼下の滝が見えた。樹木も灌木に変わる。10:00午ノ背は思ったよりも巾の広い岩稜であり、右手は柴で下が見えないが、左手の斜面は残雪が見えて、さぼど高度感がない。一応ここも3個目の追い越し禁止区間になるだろう。
 風が出てきたので、途中で脱いでいたシャツを羽織る。右からの大きな尾根と合流するとひと登りで、10:22粟ヶ岳山頂に着いた。風があり、風下で休憩している方もいた。薄っすらであるが弥彦山も見えたが、私達はそうそうに下山し、粟薬師の広場でストーブを出し昼食とした。
今回のコース
登山口に向かう
登山口のトイレ
登山口
金網の橋
足元が猿飛滝
守門岳
粟薬師の小屋
鎖場
天狗の水場
山頂が見えた
左が山頂
午ノ背
最後の登り
粟ヶ岳山頂
風を避ける人々
薄っすらと弥彦山
お世話になった長嶋さんと伊藤さん

おわり