登山者情報1052号

【2006年11月01日/浜風峰〜西山新道(町境)/井上邦彦調査】

 葉も落ちてきたので久しぶりに町境を歩いてみることにした。前回は第901号で浜風峰まで歩いているので、今回は明沢側支流の鍋沢から登ることとした。
 車を止めて磨り減ったスパイク地下足袋を履いて、06:23鍋沢に入った。06:39沢が分かれている所で左に入る。足を濡らさないように注意していたが、倒木に滑って片足が沢に入る。こうなればあとは自由に沢身をジャブジャブ。06:46大きな滝が出てきたので素直に左岸から巻く。
 07:25真直ぐはハング状の滝、水量の多い左の曲っている滝へ進み右岸から越える。水量が少なくなってくると、07:55どちらも同じ程度の水量分岐、地形図とGPSで現在地を確認し、コンパスを合わせて左の沢へ入る。杁差岳で左手薬指を痛めていたが、暫く前から中指が同じような症状になっており力を加えると痛い。地下足袋が滑るの慎重に歩く、ヘルメットを持って来るべきだったと少々後悔する。
 08:04平坦な地形になり溝状の沢は潅木に覆われたトンネルといった感じである。地形図を見て右の沢へ入って、08:09-15食事を取る。08:26水がなくなる、源流である。ここからは藪漕ぎになる。地形図には歩道が記載がされているが、あてにして良いかどうか。
 08:37町境に到着する。やはり道跡すらない潅木である。浜風峰のやや北側に出たようだ。浜風峰に向かう。付近は伐採跡なのでひどい藪であるが、途中草原となる。08:45浜風峰のブナ林から戻ることにした。
 飯豊町側に池を見下ろしながら戻る。そういえば今日から鴨猟の解禁である。09:28、950m峰、ここで尾根は右へ曲がっている筈であるが、藪で視界は全くない。磁北線を描いていない地図を持ってきてしまったので、感覚でコンパスを合わせる。尾根のラインが見当つかない。窪み状地形になった所で左に顕著な尾根が出てきたので、その尾根に上がる。
 背丈を越す藪と太い根曲竹、潅木と蔓のミックスで身動きができない中、あがきつつ進む。
 突然、右腰がヒヤッとした。喉と目がおかしい。何気なく腰に下げている熊スプレーを見ると、安全装置がない!ズボンに小さく赤い点が付いていた。前回、熊と会った時に黄バンドを外して、白い安全装置だけをつけていたが、その安全装置が藪に引っ掛かり外れ、枝が発射板を瞬間的に押したと気がついた。
 熊スプレーを腰バンドに固定しているザックを置いて、藪の中を戻って探すが見つからない。木の枝を安全装置替りに穴に差し込んで応急処置をするが、うまく行かない。紐と枝を使って何とか固定する。
 一息ついた時、うっかり脱いだ軍手を口に咥えた途端、猛烈な刺激に襲われ、それ以来帰宅するまでくしゃみが続いた。
 熊スプレーをすぐには使用できない状態で藪を漕ぐのは嫌なので、ラジヲのスイッチを入れたが音がしない。予備用の乾電池に取り替えても駄目だ。よく見ると予備用乾電池の袋に水が浸入し、腐食しているのだ。ラジヲだけが単Wであり、他から流用はできない。暫し呆然とする。
 気を取り直して、再び藪を漕ぐ。前方の視界が開け始めた時、目前の山の姿が異様に感じた。見たことがあるのだ、「浜風峰!」一瞬背筋が冷たくなった。何故、ここに浜風峰が存在するのか、意味が分からない。ともあれGPSとコンパスで確認する。先ほどの峰で右折した筈が、180度Uターンをしていたのだ。
 10:00今来た藪を戻る。950m峰から何度もGPSで現在地を確かめながら何とか、峰を北から巻くようにして町境に上がる。
 11:06左下方に杉林が見えた。藪が薄くなり、踏み跡のようなものが何箇所かあった。草地があり、その先に若いブナの塊があった。局地気象の関係で皆伐跡の植生に変化が生じるのだろうか、疑問がまたひとつ増えた。
 11:26-48小さなブナ林で食事、風が少しあるが陽が温かい、無線で呼ぶとAQLが出てくれた。
 11:56沢の源頭に出る。左を巻き気味に進むと低い草と潅木になり、13:00ブナ林になり、ここからずっとブナ林になる。ブナ林の中は歩きやすい。13:47ピークを越え、13:53鞍部を過ぎると、13:56西山新道となる。
 13:58-14:22ラーメンを食べ、ヒッコミ沢左又を下る。沢沿いの僅かな草地は熊が休んだ跡が、あちこちにある。沢中で熊と会うと厄介なので、部分的に尾根を通り、再び沢を下る。
 15:19崩壊した林道に出て、15:49車道となる。このまま砂利道を下り、16:37車に戻った。

今回のコース
ルートを失う
鍋沢に入る 滝が出てきた この滝は右から巻いた
正面に滝が立ち塞がった 左の曲がっている滝に進む 水量が少なくなってきた
藪のトンネルの中を進む 平坦な沢 源流
町境から浜風峰を仰ぐ 北を眺める 藪を進む
浜風峰のブナ林から戻る 浜風峰から北の町境を眺める 右手に池があった
ここだけ草原になっている 鍋沢を見下ろす 皆伐地を進む
浜風峰を振り返る キノコ(アシグロタケ?) ホコリタケ
鳥の巣 若いブナ 潅木の藪
草が見えると歩きやすい 三体山方面
キノコ ブナ林になる
ムキタケ 西山新道に出た 西山新道
ブナハリタケ 応急処置を施した熊スプレー 紅葉