登山者情報518号

【2001年04月01日/猿鼻山/井上邦彦調査】

起床すると自宅前の道路は真っ白に雪が積もっていた。それでも予定通り出発することとし、朝食を終えお握り2個をザックに入れる。河原角集落手前橋の袂に車を止める。細かな雪が降っているので、下着1枚の上にカッパの上だけを着込む。
08:35(高度計を312mにセットする)スキーを履いてツチハゲ沢左岸の林道伝いに登る。新雪は15cm程度である。蕨野になると尾根沿いに真っ直ぐコースを取る。08:56(490m)掛摺山(滝の丸山)が見える。湿った新雪のためシールに雪がつき重い、ストックで叩いて払いながら登る。新雪に亀裂が隠れており、何度か落ちて、亀裂沿いに登っていたことに気が付く。09:06(550m)蕨野から薪炭林に入るとすぐに小ピーク(地形図530m)。視界が殆どないので、磁石と地図で方位を確認し赤布(デフ)を目立ちそうな枝に結ぶ。左側は雪庇になっている。09:15鞍部を通過すると、ブナが徐々に太くなっていく。09:27(610m)急な斜面を登り始めるが、硬くしまった雪面に20cm程の新雪が載っているため、シールもエッジも効かず、スキーがずるずると横滑りを起こして滑落、雪面に出ていた潅木にしがみついて止まる。仕方なく、スキーにカラビナと5mテープをつけ、スキーを曳いてキックステップで登るが、結構重い。急斜面が終わりスキーを履くが、今度は瘠せ尾根である。09:49(720m)ようやく瘠せ尾根を突破する。
垂直な雪庇を強引に乗り越え、09:55(735m4,281歩:地形図680m)主稜に到達、赤布を付ける。10:11(810m:地形図750m)スキーを放り投げて雪庇を越えると、右から大きな尾根を合わせる。ここにも赤布を結ぶ。すぐに瘠せ尾根となる。雪庇が尾根からズレ落ち始めており、更に新雪の雪庇ができていた。藪と新雪雪庇の境を進むが、雪庇の崩壊に巻き込まれ、潅木を掴んで危うく難を逃れる。そろそろ空腹が効いてきた。この先は平坦で広い伐採跡の主尾根が続く。10:43(970m:地形図910m)右から巨大な尾根が合流する。ブナの疎林を進み、最後にひと登り。
11:01猿鼻山々頂(1,045m7,582歩:地形図982m)に到着する。視界はないが、前下方に恐ろしそうな雪庇がかすかに見えた。ODDに登頂の旨を報告する。山頂で靴紐を締め直し踝をバンドで固定しシールを外す。昨年2月5日に確認できた「SARUPPANA」の板は完全に雪に埋もれていた。滑降の準備をしているうちに、薄日が差し、次第に視界が開けてきた。
11:20滑降開始。11:30〜34風が弱くなったので、お握りを1個食べる。登ってきたシュプールは風のため殆どなくなっている。地形図910mで左の尾根に入り込み、登り直す。雪庇が怖いので左に行き過ぎるのだ。瘠せ尾根の途中から左の藪を強引に下り、左斜面を進むが、地形図750mの分岐でまたしても左の尾根を下ってしまう。気が付いて上り始めると、頭上に赤布がなびき、登りのトレースが確認できた。途中まで登り直して雪庇が小さくなった所から斜めに下降し尾根を移る。12:16(740m:地形図680m)赤布を見つける。何度も迷っただけに嬉しい。今回は赤布が少な過ぎたようだ。次の瘠せ尾根を過ぎ、急斜面の部分はいったん左の斜面に入って下る。12:40〜46(560m)赤布を回収し、残りの握り飯を食べる。河原角集落と茂松山を撮影する。ここで右にコースを変え、一気に下まで滑降する。12:58(13,259歩)ツチハゲ沢袂の車スペースに到着。感想:今回はシールに雪が付着し、予想より時間を要した。また視界がない時のスキーによる下降は、こまめにルートをチェックしないと、危険である。放射冷却現象が顕著な時はピッケルを必要とする部分があるかもしれない。

猿鼻山々頂 猿鼻山々頂から南主稜を望む
猿鼻山々頂を振り返る 上の瘠せ尾根から下の瘠せ尾根を覗く
地形図750mで迷い込む(左の尾根が正解) 左の山が掛摺山(滝の丸山)
河原角集落と茂松山 今回のルート(赤線)