登山者情報1020号

【2006年07月08-09日/ダイグラ尾根〜梶川尾根/井上邦彦調査】】

 山関係の会議があり、2週続けて山らしい山を登っていない。精神的にも肉体的にも不健康である。その分を取り戻すべくダイグラ尾根を登ることにした。
 05:21天狗平から歩き出し、爽やかなブナ林を歩いていると、向こうから見慣れた方がやってきた、桃パパである。ダイグラ尾根に挑んだが渡渉の自信がなく戻る途中とのことである。せっかくだから渡渉のやり方を見学しないかと誘い、二人でダイグラ尾根に向かった。
 05:56桧山沢吊橋に着くと、なるほど鉄製の支柱が根元から倒れており、2本の主ワイヤーが水面近くに垂れ下がっているだけである。吊橋周辺は流れが激しく渡渉できる雰囲気ではない。大又沢との合流点の下流に川幅が広くなっている所があり、さらに釣り人だろうか大又沢にロープが張られていた。
 何時もはスノーブリッジで隠れている上流に行ってみると、流れが変わる部分にロープが張られていた。ここなら何とかなりそうである。声を出して桃パパを呼び、靴とズボンを脱ぎ、カメラや無線機をと一緒にザックに入れる。桃パパが来たので、沢に入るが思ったより深い。引き返しパンツを脱いで再び沢に入る。部分的に流れの強い所もあり、片方のストックを流された。無理をすると自分まで流されるので、ストックを諦め右岸に上がり、ズボンを履く。
 今度は桃パパが挑戦、無事に渡り終えた。このままダイグラ尾根を登らないかと誘ったが、靴もズボンもそのままで水に入ったので、帰るとのことであった。帰りの渡渉は水の勢いが弱いやや上流部に取ったので、後ろから見ていると、ザックが水に触れていた。
 ここから藪を漕いで左岸沿いに下るのだが、ザックに取りつけたピッケルが邪魔になる。06:10ようやく登山道に出る。ここからは通いなれた道である。06:21-30岩場で食事を私ながら無線で呼ぶと梅花皮小屋のOTJと繋がった。
 08:01御池ノ平の蛙泡は数が少なく、産卵期が終わったようである。登り始めてすぐ、地滑りで二つに切り裂かれた樹を見つけた。08:10長坂清水を通過する。
 登山道脇のブナが倒れ、土砂が抜けたようになってルートが混乱している。07:17すぐ上にも下山時は右に行きやすい踏み跡状のものがあり、この付近はルートを丁寧に確認していく必要がある。
 07:31米栂ノ平(仮称)を通過し、07:33-41食事を取る。ここから急坂が始まる。掘れた急な登山道、両手を使って這い上がる。
 07:54休場ノ峰に着くと、アカトンボが群がっていた。ここまでは殆ど花を見ておらず、ここから花の観察が始まる。先ずはヤマツツジ・ヒメサユリ・ガクウラジロヨウラク・コキンレイカ・カラマツソウが迎えてくれた。08:23コメツガの倒木を過ぎるとすぐ、08:24樹林の中に千本峰の標柱が立っている。VCKと無線が通じた。昨日は切合小屋に泊まり、現在飯豊山とのことである。切合小屋には既に管理人が入っている。
 ヒメサユリ・アカモノ・ハクサンチドリを眺めながら、千本峰の岩場に到着。岩場の右からクライミングダウンし、08:33登山道に出たところで左足がコメツガの根に絡まった。斜度があるので右足を出したが、足が抜けずにそのまま転倒。左足を動かすと痛みが走った。左足の膝と右足の脛、右腕に傷がある。とりあえず傷バンで右腕の出血を処置し、そのまま食事を取る。症状としては左膝打撲、右足脛と右腕が擦過傷。08:42ザックを背負って歩いてみる。下りは若干痛みがあるが、登りは殆ど支障がないので、このまま進むこととした。
 登山道が大又沢側に作られているので残雪が登山道を覆っている所がある。滑落に注意しながら進む。オオバキスミレ・エチゴキジムシロ・シラネアオイが咲いている。
 08:57に1,499m峰のトラバースを終える。ここからは登りとなる。濡れた岩や樹木に置くと靴が滑りバランスを取るのに苦労する。暫く登っていなかったので体調が戻っていないのだろうか?満55歳となり年齢的なものがあるのだろうか?恐らくは湿度と温度のせいだろう、頭の中がぼうとしている。
 ミヤマキンポウゲ・ノウゴウイチゴ・カタクリ・ヤマトウバナ・シロニガナ・ムラサキヤシオが目を楽しませてくれる。登山道を覆う残雪の規模が次第に大きくなっていく。オオサクラソウ・タニウツギ・イワカガミ・マイヅルソウ・ゴゼンタチバナ・ツマトリソウが咲いている。
 汗が噴出すように流れ眼が開けない。足運びが進まず、どうということのない所で滑る。足が吸い付く感覚が感じられないため、動きが小さくなる。ツガザクラ・ショウジョウバカマ・チングルマが咲いている。感覚を取り戻すためタオルに雪を包んで首筋や頚動脈に当てたり、鉢巻にして額を雪で冷やす。
 09:42標柱「宝珠山ノ肩」のすぐ先から登山道は一面の雪で覆われている。09:45-54融雪水を汲み食事を取る。ここでピッケルを出して雪斜面を登るが、ズック着用なので一部は雪の脇を通る。宝珠山の最後近くまで雪が続いていた。凍りかけた雪上にはカモシカの足跡があり、よく滑り落ちないものだと感心する。
 ズダヤクシュ・ミヤマクワガタ・ハクサンシャクナゲを見て、10:14岩稜を通過する。ここからの展望は素晴らしいのだが、今日は御前坂方面以外に視界がない。鞍部に下りて幾つかの小峰を越え、最低鞍部から残雪を登って、10:43夏道となる。
 いよいよ御前坂である。途中10:49-56食事を取る。イワウメ・ミヤマキンバイ・キバナノコマノツメ・ミヤマダイコンソウ(盛)・ツマトリソウ(盛)・マイヅルソウ・オヤマノエンドウ・ヒナウスユキソウが咲き乱れる中を登っていくと山頂に2本の標柱が見えた。
 11:25-38飯豊山々頂、三角点には三角形の帽子が乗せられていた。セルフタイマーで写真を撮る。種蒔山方面は晴れてきたが、御西・北股岳方面は雲の中である。先ほどから何回か女性の声がするのだが姿は見えない、空耳か、それとも未知の世界か。VCKと交信、天狗ノ庭付近を梅花皮小屋に向けて歩いているとのことである。
 駒形山に下るが、春の花は終りかけである。駒形山を過ぎてから登山パーティに会う。まさか先ほどの声は・・・
 玄山道分岐でもパーティと会い、侵食の度合いを観察する。アオノツガザクラ・イワカガミ・チングルマ(終)・シラネアオイ・バイカオウレン・ミヤマキンポウゲ・ショウジョウバカマ・ハクサンコザクラが咲いている。草月平はハクサンイチゲが終り、ニッコウキスゲはまだ蕾、花と花の狭間といった感じである。登山道の踏圧による拡幅の状況を確認しながら進む。
 12:28-32御西小屋の中の便所はまだ閉ざされており、外のトイレを使用することになる。外のトイレの周囲はミヤマキンポウゲに覆われている。侵食された登山道を下り残雪を登る。
 12:43-50天狗岳を巻いて夏道に出て食事とする。頂稜の道を下り、途中で小池から旧道に入る。崩壊状況や修復状況を観察しながら進むが、笹原では胸までのネマガリダケに動けなくなる程であった。
 13:19天狗ノ庭の標柱で登山道に戻る。オノエランが咲いていた。この先は山形県側を進むが、まだ登山道は雪に埋もれている所が多い。残雪から登山道に移る所は滑落しやすくなっているので注意が必要である。
 13:40御手洗ノ池を通過する。なおも残雪と登山道を交互に歩き、13:55-14:02亮平ノ池で食事を取り登りに備える。新潟県側の登りではヨツバシオガマ・マイヅルソウ・ミヤマキンポウゲ・ヒナウスユキソウ・キバナコマノツメ・ハクサンイチゲ・ショウジョウバカマが咲いていた。登りきって山形県側に移ると残雪歩きになり、14:22クサイグラ尾根分岐手前から夏道になる。クサイグラ分岐は素敵なお花畑があるところで、今回もミヤマキンポウゲ・シナノキンバイ(盛)・モミジカラマツ・ハクサンボウフウ・ガクウラジロヨウラク・ウスノキが咲いていた。
 14:31烏帽子岳を通過する、山頂の標柱が割れていた。ツマトリソウ・ゴゼンタチバナ・コケモモが咲いているが、一面のヒナウスユキソウは特筆に価する。14:48梅花皮岳を通過する、見下ろすホン石転ビ沢は急峻に感じられる。
 14:04梅花皮小屋に到着すると、OTJが出迎えてくれた。またVCKやVQOも先に到着していた。石転ビ沢を登る途中で落石を背中に受けた登山者がおり、VCKに見てもらったところ内出血はしているが深刻ではないとのこと、ひと安心する。
 05:50梅花皮小屋発、先に出たVQO一行を追い越して06:07北股岳を通過する。視界は効かないのでそのまま歩く。足元にはマイヅルソウ・コケモモミヤマダイコンソウ・オノエラン・ミヤマキンポウゲ・ヨツバシオガマ・ツマトリソウ・ヒナウスユキソウ・ニッコウキスゲ(始)・タカネナナカマド・チングルマ・イワカガミが咲いている。
 06:41-44門内小屋では何名かの方が小屋の仕事をしていた。来週から管理人として入る石井さんに挨拶をする。無線の交信時間は07:00、13:00、17:00の3回とのこと(頼母木小屋も同じ)、今年は何事もないことを祈り出発した。
 ヒメサユリが咲く中、06:55胎内山を通過し、06:59扇ノ地紙に到着する。ここからは梶川尾根の草原漫歩となる。イワカガミ・ミツバオウレン・ゴゼンタチバナ・ヒメサユリ・シロニガナ・アカモノ・イワイチョウ・チングルマ・ツマトリソウが咲いている。
 07:10残雪の上を数m歩く。ヨツバシオガマとヒメサユリの群落が素晴らしい。ガクウラジロヨウラク・ヒメサユリも咲いている。07:17ケルンにはチシマギキョウが咲き始めており、ここからガスが晴れる、ハクサンシャクナゲ・ニッコウキスゲ(始)を眺めながら07:25梶川峰を通過する。
 先週登山者が滑落したトットバノカッチは、夏道は露出しているが旧道は雪に覆われていた。昨日痛めた左足の調子を確認しながらゆっくり下る。ヤマトウバナが咲いていると、07:41三本カンバに着く。北股沢出合から上は雲で見えない。梶川出合付近の雪渓に穴が開いているのが確認できた。ショウジョウバカマ・タニウツギが咲いている。
 07:53-08:06五郎清水で偶然M氏にお会いする。五郎清水は使用できるとのこと。08:23滝見場で再度石転ビ沢を見るが、依然として上部は雲に覆われている。
 08:48湯沢峰に登り、09:26楢ノ木曲リを過ぎ、09:00岩場を通過するがロープが古い。林道に飛び出ると、湯沢の川風が心地好く、ゲート脇を通って09:46天狗平に到着した。

今回のコース ログがきちんと取れていなかった

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