登山者情報1080号

【2007年05月26日/足ノ松尾根〜杁差岳調査】

 天気予報では風が強く黄砂が襲来するとのことである。大日杉から飯豊山方面はきつそう、たまたまLTQが奥胎内まで車解禁と掲示板に書いてくれたので、そちらに向かうことにした。
 起床して山道具を準備していると、新しい乾電池を入れても乾かしていたデジカメがバ全く動かない、接触不良なのだろうか。よくよく見ればデジカメはあちこちが磨り減っている、減価償却も終わったんだろうなと思い、とりあえずは古いデジカメを持参することにした。
 奥胎内ヒュッテに到着すると既に何台か車が止まっていた。隣のお二人は大樽山に向かうとのことである。自宅から片道54.2kmである。
 06:36歩き始めると、ゲートに「この先、工事中に付き一般の方は自動車等(車両)での通行が出来ません」と書かれ鎖が張られていた。
 胎内尾根に下るルートには立入禁止のロープが張られていた。トチやニウツギ・ウワズミザクラの花が咲き、新緑は大変に色が濃い。ケラのドラミングとウグイスのホーホケキョを聞きながら舗装された林道を進む。
 06:55本流にかかる奥胎内大橋を右に見ると、ここから砂利道になる。ブナの木が倒れており、乗用車ならなんとかなる枝切りはしてあるがバスの通行はちょっと疑問である。07:00慰霊碑前を通過、07:04左の水場を通過する。
 バードウォッチをされている方に使用している単眼鏡について尋ねると、私をご存知で「今日は自転車でないのですね」と言われた。「たまには歩いて所要時間を確認しないと・・・」と答えた。
 07:11登山口に到着する。ここは広場になっており、生態系保護地域の大きな看板がある。林道正面のゲートは開いていた。
 登山口の標識は壊れたのか外されているのか、ともあれ左の山道に入る。始めにブロックが数段ありブナ林の中へと誘う。
 単独の女性に声を掛けて抜こうとすると、彼女も私の名前を知っていた。最初の急斜面を登ると、足元にはオオイワカガミが咲いている。両脇にはヤマツツジ・ガクウラジロヨウラクが咲き、山は見えるが空はやや曇っている。むしろ登りでは風があるので助かる。この尾根のムラサキヤシオは色が濃いように感じる。白く咲いているのはガマズミだろう。 姫子ノ峰までは何度も騙されながら近づいて行く
 07:35どうということのないトラロープの張られている岩場を通過する。体が夏バージョンになっていないのだろう。今日は運動靴を履いて登ってきたけれど、多少足がもつれるような感覚もある。足感覚が今ひとつといったところである。
 07:40-48姫子ノ峰到着すると松の標識の上に新しい標識が付けられていた。ここからは目指す大石山を始め地神山や胎内尾根も丸見えである。門内小屋も見えている。最初の食事とする。タムシバ・ユキツバキが咲いている。
 07:51昔の雨量計あった船窪地形を過ぎる。二ツ峰が異様な形を見せてくる。両側はタムシバに覆われムシカリも咲いている。
 07:50急な登りに入る。登りきるとウゴツクバネウツギ・ムラサキヤシオが咲いている。ムラサキヤシオはやはり赤い。
 08:02ぐんと下った鞍部にはトラロープのある簡単な岩場があり両側が切れている。すぐに急登である。08:11滝見場にも新しい立派な標識があった。このすぐ上には休憩するのに良い場所がある。08:23昔の水場を通過する。08:24道の傍らに雪があった。マンサクとタムシバが咲いている。
 08:27今日始めて雪を踏む、先行者がいるようだ、すぐ上にも雪があるが特に問題はない。残雪の下で水が取れそうである。
 右下の船窪地形には雪がたっぷりと残っている。熊の糞があったので参考のためコンパスと一緒に撮影する。よく見るとあちこちに粘土色の糞があり、臭いが漂っている。
 08:36水場分岐、水場に下る道が露出し、登山道が雪に埋もれているため迷いやすくなっている。ばらばらになって落ちている標識を組み立てて雪の上に置くが、数日も持たないだろう。
 08:44-50ブナの木の根坂で休憩し食事、携帯のバッテリーを替える。08:52登りきった所に掘のような地崩れ地形があり、テントを張ったような跡がある。近くで雪が取れる。
 08:59僅かに雪の上を歩くと、目の前に大石山が聳え立ち、右手には地神山・門内小屋・門内岳・胎内尾根(二ツ峰)と続いている。普段は声しか聞かないウグイスが、珍しく藪の中から姿を現した。
 09:05また若干雪の上を歩いて登山道に入ると、直径20cm程のブナの幹にひびが入って山道を塞ぐ支障木になっていた。
 09:09登山道が左側から徐々に崩壊しつつある。09:14ここも左が欠けている。崩壊するに従って足場の分だけ刈り払うので、それが根を弱めて崩壊を継続させる悪循環となっている。ルートを付け替えてやれば3〜4年で回復する植生なのに、やり方が問題だと思う。ノウゴウイチゴ・カタクリ・イワウチワが咲いている。
 行けども行けども大石山が伸し掛かってくる。鉾立峰の尾根を眺めて自分の標高を推測して登っていく。稜線が近づくにつれて風の音が強まっていく。ミネザクラが咲き、二王子岳山頂が雲に覆われてきた。杁差岳も雲に包まれ始めたようだ。傾斜が次第に落ちていくのは山頂が近づいている証拠なのだが、なかなか着かないのは何時ものことだ。
 09:26ようやく頼母木小屋が見えた。傾斜が殆どなくなり雪を僅かに踏む。傾斜が少しずつ緩くなるので何度か山頂かと騙される。
 09:29-39大石山分岐で稜線に出る。風があるので藪に入ってカッパを着て食事を取る。ここからは稜線を北に進む。
 ニッコウキスゲの新芽がびっしり生えている。今年はニッコウキスゲの当たり年になるかもしれない。ハクサンイチゲは蕾が膨らみ、気の早い数輪が開き始めた程度、ミヤマスミレとミネザクラは盛りである。ショウジョウバカマ・ヒメイチゲ・ノウゴウイチゴ・キクザキイチリンソウ・カタクリ・ミツバオウレン・イワナシ・シラネアオイが見られた。
 鉾立峰の登りにかかると暖かい。サラサドウダンやミネカエデなどの葉芽がナッツ(木の実)のようだ。ミヤマハタザオも咲いているが、ミヤマスミレが多い。
 10:07鉾立峰山頂で単独行者とすれ違う。山頂まで行ってきたが誰もいないとのことである。オオバキスミレも裂き始めた。10:19藤島玄碑を通過する。大振りの白いキクザキイチリンソウが咲いている。10:25杁差小屋脇を通過する。雲の流れが激しく写真が撮れない。
 10:27杁差岳山頂に到着する。セルフタイマーで記念写真を撮ろうとデジカメを石の上に載せて離れた瞬間、風でデジカメが回転し落下した。慌ててデジカメを拾うがレンズ前面が壊れている。部品を探すが見つからない。仕方なく小屋に向かう。何とかシャッターは切れるようだ。
 10:37-11:25予想通り誰もいない杁差小屋に入り、ラーメンを煮る。休憩している間に少し晴れてきた。11:45鉾立峰山頂を通過する。登りであれば暖かくなる筈だが、風があるので体温はさほど上がらない。次第に風が強くなって来たが、荷物が軽いのでバランスが取りにくい。登山者1名ととスライドする。
 12:17大石山分岐を通過、12:39-44森林限界上で休憩を取る。12:56水場分岐、標識は土の上に移動されていた。13:01雪通過し、13:04昔の水場、13:12滝見場と下る。
 13:24岩場通過すrが、その直前で女性を追い越す。聞くと稜線まで行ったが風が強いこととピッケルを持参しなかったので無理せず戻ったとのことである。
 13:37-51姫子ノ峰で休んでいると先程の女性が下ってきた。話をしていると明道さんという方で、結構登っており、共通の知人も多い。そのまま明道さんと一緒に下山する。
 14:19林道に到着。林道途中でバードウォチャーの団体とすれ違う。14:56-01胎内尾根取り付きの吊橋を確認に行き、15:03車に戻った。

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