【2008年03月30日/町境:合地峰/井上邦彦】
05:26車の通行止めで歩きだす、赤くなってきた。交通止めは思った以上に手前である。ここからジグザグに車道を登り、05:40高張トンネル入り口に着く。ここまでで結構高度を稼いだ。長さ612mのトンネルを出て05:47、ダム本体が左眼下に姿を現し、これから通る巨大な橋が見えている。5:49黒獅子トンネル(562m)に入る。5:55トンネルを抜けると、龍神大橋になる。5:58龍神大橋渡った所で、除雪は終わっていた。旧道はこの先で大きく下るのだが、それを考えるとうんざりする。幸い雪は硬雪なのでもう少しズックで歩く。トレースを辿ると06:01御神輿トンネルに入る。ここはライトがなくて真っ暗だけど短い。6:06トンネルの入り口にズックをデポする。
このまま下って旧道を進か、それとも橋を渡って新道を行くか、新道のコースが分らないので悩むが、思い切って新道に入ってみることとした。沢沿いに車道を進む。6:25ようやく峠だろうか、正面に山が見えた。もしかするとあれが三体山だろうか。トレースを使いながら進むが、歩きにくい。
6:43桂谷と三体山がようやく見えた。付近は一面の雪野原である。このあたりが以前に三体山登山道から見えた土採り場なのだろう。6:46カンジキを履く。雲が晴れてきた。祝瓶山らしきものが見える。新しい橋に出たので、カンジキを脱いで靴を履く。橋の上から見下ろすと旧道はやはり雪崩の巣のようだ。そのままトンネルの中に入ると真っ暗である。まだ舗装もされていない。途中に穴のないことを祈り、面倒なのでそのまま進むと、出口はブルーシートで閉ざされていた。シートの端が開いていたので覗いてみると、トンネルの先は橋になっているが、開いている場所は橋の横であり、真下は目の眩むような絶壁である。ここで引き返そうかと考えるが、何とか橋の欄干に手が届きそうなので、思い切って身体を乗り出す。欄干にしがみつくことはできたが、ザックに括り付けたストックがシートに絡みついて動けない!心を落ち着かせ、ゆっくりとストックをシートから抜き、欄干を跨いで橋に上がった。もうこのコースは戻る気はなくなってしまった。
林道を進むと左手に立派な吊り橋があるが、もちろん踏み板は外されている。沢に降りて徒渉するのも可能だが、一本吊橋の要領で渡ることとした。足場と手摺のワイヤーはしっかりと張られており安定感はあるが、結構な高度感がある。7:23-7:33吊橋を無事に割り終えた所で、お握りを2個食べる。
桂谷集落跡に向かわず、吊橋からそのまま尾根を直登する。7:43左から上がっている車道を横切ると、マンサクの花を見つけた。7:47カンジキ履く。8:01鞍部、恐らくここまで車道があって登り口になっていると見た。08:17カンジキを外す。大朝日岳や御影森が見える。
08:32夏道になって、長井方面の市街地が見える。08:41手前の松峰までは夏道が出ていた。ここで念のため、日焼け止めを塗りサングラスを掛ける。08:55平坦な尾根稜、雪は殆ど潜らない。09:06カンジキを履いて発。09:11広くなって尾根が合わさりブナも少し出てきた。ここは二重稜線のようになっている。雨量計のあった所だろう。
09:20、1,051m上着を脱ぐ、天気が次第に回復してきた。09:36ブナが霧氷になる。よく見るとブナの芽も少し膨らんできた感じがする。09:38右から大きな尾根が合流し、一面広くて迷いやすい。ブナの背丈が次第に低くなる。尾根の左に寄ると抜かるし、右に寄ると風が冷たい、その合間を縫って斜面を登って振り返ると、満開の桜かと思った。ブナの霧氷が見事な光景を醸し出していた。
1,153m09:50三体山々頂の一角に入る。平坦で灌木に覆われた山頂部で柱を見つけた。ここが山頂だろう。セルフタイマーで記念撮影をしていると、灌木が動く気配がした。目を向けると大きな丸々とした動物が目の前を歩いている。距離は6m位だろうか。慌ててカメラを出すと走り出し、灌木の陰で動かない。近づくと次の灌木群に走る。夢中で何枚かシャッターを切り、ザックから望遠用のカメラを出したが、何とバッテリー切れで作動せず、残念。
10:11三体山々頂を後にして合地峰に向かう。ガスが出て視界がなくなってきた。左後方に荒沢山、前方に孫守山が見えた。10:23と10:33に小ピーク越える。雪庇の亀裂に足を取られ歩きにくい。左の灌木群に入ると、霧氷がバラバラと体にかかる。10:35-39お握り1個を食べる。10:45左から大きな尾根が合流し、正面に雪庇が張り出しているが問題なくクリア。
11:06合地山々頂。祝瓶山が恐ろしい傾斜。11:32下山開始。望遠カメラのバッテリーを入れ替える。12:29-32三体山々頂。ガスが晴れてきた。このまま町境を南下しババ岳に向かう。
12:51二重稜線で、池がありそうだ。風下側にこんもりとしたブナの林がある。13:03ピークで休憩、ここから下りになる。13:11発。まもなく町境と分かれる。まだ大朝日岳が見える。分岐の所から左に下る所は、上から見た感じではかなり痩せていて嫌らしい。状況が分らないので、下りにかかる前にカンジキを脱ぐ。1本立っている細いブナの木に掴まり下を覗き込むと、雪稜の下部はオーバーハングになっている。右は大規模に全層雪崩が起きた跡。ロープを持ってこなかったので、ブナの木にぶら下がって、素早く雪崩跡の柴を掴む。あとは雪崩跡の端の柴を掴んで急斜面を突破し、坪足で左の雪稜に移動、13:27安全な所まで至った。
左下の雪原(土採り場跡)を眺めながら、下降する尾根を探す。ブナの芽が赤い。13:28ここから左の尾根を下ることに決める。最初は広いブナ林から、左の瘠せた尾根に取りつく、結構登り下りがある尾根だ。
カンジキを履いているので足場が取りにくい。ピッケルがあればなんとでもなるのだが、ストックでは怖い。この尾根には鋸跡があり、頻繁に使用されていることが分かる。14:21小峰の手前でトラバースをする。ここの山は里山の割に沢が深い。最後のお握りを食べ、カンジキを脱いで、熊狩りの要領で下る。
14:45沢に出る。土砂崩れがある。14:50落ちる覚悟でスノーブリッジを渡る。14:59二つ目の沢、合流点のすぐ上で、杉にぶら下がって飛び降りる。対岸に上がる時に一回失敗したが何とかバランスを保って倒れずに済んだ。強引に二回目で這い上がる。素手で杉を握ったので左手が痛い。後は単純に登りさえすればルートに着く筈と見当をつける。
杉林、雑木林、松林になって15:06雪原の一角である林道に出た。雪原からは大朝日岳・西朝日岳・祝瓶山などが遠望できる。15:15朝の足跡に到着。
15:50御神輿トンネル到着、15:54-59龍神大橋でズックに履き替え、16:39車に到着した。
今回のコース |
![]() |
神尾沢(管野沢)沿いの新道を進む |
峠に差し掛かると三体山方面?が見えてきた |
桂谷集落跡から三体山に伸びる尾根の全景 |
薄らと大朝日岳方面が見えた |
旧道と合流する |
橋の上から旧道(右岸)を見下ろすと、雪崩が怖そうだ |
トンネルを抜けて橋を渡ってきたが・・・正直やめた方が良いと思います |
桂谷集落跡に行く吊橋 |
もちろん板は撤去されており、スリリングであった |
この辺りの雑木林は、まだナラ枯れが及んでいない様子だ |
ここが車道から尾根に取りつく場所だろう |
大朝日岳が見えてきた |
露出した夏道に新雪が積もっていた |
大朝日岳と御影森山 |
雪原が土採り場で、ここから左下に歩いてきた 市街地も見えている |
下山に使用した尾根が見えている |
通過してきた新道と橋 |
かつて雨量計があったという尾根の合流点 |
順調に尾根を登る |
新雪のある部分は僅かに潜る |
一面、桜の満開! |
暫し花見と洒落込む |
何とも見事な光景である |
近づいてみると、ブナに着いた霧氷の花である |
町境尾根が近付いてきた |
桜群生を見下ろす |
頂上が見えてきた |
三体山々頂の筆者 |
サングラスをするとLTQに似てきた? |
山頂はお菓子の国! |
突如、獣が動いた |
慌ててシャッターを切る |
追いかけて撮影 |
3倍ズームではこれが限界 |
まん丸のお尻が可愛らしい |
そうして彼は姿を消した |
残された足跡 |
ボイスレコーダー(長辺10cm)と足跡を比べてみる |
彼が走った跡 |
山頂から南を眺める |
雲に隠れているのが合地峰 |
三体山を振り返る |
合地峰に向かう |
岩井沢山 |
合地峰が姿を現した |
灌木と雪庇 |
孫守山 |
振り返る |
合地峰山頂の三角点 |
山頂の筆者 |