登山者情報1,247号

【2009年06月06-07日/ダイグラ尾根-丸森尾根/井上邦彦調査】

今回のコース
地神北峰から丸森
峰の間は殆どが雪
上で視界も閉ざさ
れていたが、ほぼ
夏道に沿って歩くこ
とができた。

 二転三転する天気予報に振り回されたが、予定通り単独でダイグラ尾根に入ることとした。
 04:13天狗平からヘッドランプなしで歩き始めた。04:30温身平十文字からは梅花皮小屋が見えた。このまま天候がもってくれることを期待する。最後の砂防ダム手前で林道が登りから下りにかかった所から、右の登山道に入る。
 04:50桧山沢吊り橋を問題なく渡ると、何時もの急登が始まる。これまた何時ものパターンであるが、05:04-17岩場で桧山沢源頭を眺めながら、汗を拭い食事を摂る。ヤマツツジが咲いていた。
 05:44登山道が右の斜面に移り、また尾根に戻ると御池ノ平である。05:56種蒔ノ池の端にはまだ雪が残っており、ムシカリ・タムシバ・カタクリ・イワウチワ・ナナカマド・タニウツギが咲いていた。
 06:07長坂清水で傾いた標柱を手直しする。06:14数年前に土が動いた個所は草が根づき始めたものの、下山時には迷いやすいので注意が必要である。シラネアオイが咲いている。
 06:21-30標高1,000m、山鳩の声を聞きながら食事を摂る。小雨がパラついてきたのでザックカバーを着けて再び登る。
 06:39米栂ノ平(仮称)はここからコメツガが出てくることから、私が勝手に呼んでいる場所である。マイヅルソウ・ウワミズザクラ・シラネアオイ・ウゴツクバネウツギ・ツバメオモトと花の種類が増えていき、最後の急坂はシラネアオイロードと化している。
 06:58-07:12休場ノ峰に到着する。雨になったのでカッパを着る。無線機と携帯電話のスイッチを入れる。携帯は通信可能なので、blogに送信する。以前横になっていた三角点の標石はなく、鉄杭で三角に囲まれた所があった。
 展望はないが、イワカガミ・オオバキスミレ・シラネアオイ・ミヤマスミレ・キクザキイチリンソウ・カタクリ・チゴユリ・ツクバネウツギ・タニウツギ・ツマトリソウ・エチゴキジムシロ・ハクサンチドリ・マイヅルソウ達が眼を楽しませてくれる。
 07:45千本峰標柱を通過する。ムシカリ・ムラサキヤシオ・ツバメオモトが咲いている。07:54岩場を下り切った鞍部から大又沢側になると登山道に残雪が出てきた。
 さらに進むと登山道は切り立った壁に埋もれている。かなりの急斜面なので、残雪の端をカッティングし直登、残雪の天辺を歩き、柴を掴んで登山道に出る。
 08:09-17標高1,430mで2回目の食事とする。ここまで緊張した場所は2個所だった。
08:23、1,499m峰を巻き終えた鞍部を通過する。ここから宝珠山の登りになる。08:27標高1,480mから上部は残雪歩きとなる。軽登山靴なので、サイドを使ったキックステップで登る。傍らにはイワウチワ・タケシマラン・ツバメオモト・ムシカリが咲いている。
 09:10-16宝珠山ノ肩の標柱は露出していた。記憶によると山頂直下で急斜面のトラバースがあるはずなので、アイゼンを装着し、ビニール手袋をする。ビニール手袋は雨天時や風のある時に有効である。
 山頂直下のトラバースを難なく過ぎ、さらにもう一つの残雪を越えた所で、09:31-34にアイゼンを脱ぐ。
 09:39岩稜を通過する。相変わらず視界はない。コメバツガザクラ・ミツバオウレン・ショウジョウバカマ・ミネザクラが咲いている。10:00いつも休憩する岩を過ぎる。
 最低鞍部から登り返し、10:14-19標高1,830mで夏道に出る。腹ごしらえをして、ピッケルからストックに替える。
 御前坂の登りには、ミヤマキンバイが咲き始め、コメバツガザクラ・ミネザクラ・ヒメイチゲ・ミネズオウ・ウラシマツツジが盛りであった。
 11:07飯豊山々頂に立ち、そのまま梅花皮小屋に向かう。ミネザクラ・ヒメイチゲ・ミネズオウ・ウラシマツツジ・コメバツガザクラ・ミヤマキンバイ(始)が咲き、ヒナウスユキソウは白く発芽していた。11:19-23風の当たらない所で食事を摂る。
 11:26駒形山々頂の標柱は風浸して芯だけが立っている。11:32玄山道分岐手前から雪上となり、夏道となった11:43草月平となる。ここではハクサンイチゲは咲き始めの状況。12:13登山道で水を汲むが、その先にも融雪水が取れる場所があった。
 12:17御西小屋を確認して通過する。2007年秋に施工した登山道整備跡を確認する。緑化ネットはしっかりと貼り付き、登山道端には植物の芽生えを見ることができた。石組はまだ残雪の中で、勢いよく流れる水音が聞こえた。
 12:35天狗岳を通過するが、思ったより雪が多い。雪量は場所によって異なるようだ。下って頂稜の夏道を辿ると、ミヤマハタザオ・ミツバオウレン・ヒメイチゲ・ミネザクラが咲き、ミネカエデの新芽が美しく感じられた。
 12:52天狗ノ庭の標柱を通過する。天狗ノ庭そのものは一面雪に覆われている。シラネアオイが咲いていた。天狗ノ庭を過ぎるとまた雪の上になる。
 13:14夏道から残雪に上がる所が急斜面になっている。逆方向だと相当神経を使うのだろうが、今回は2本のストックを刺しキックステップで登った。なおストックの場合はゴムキャップと先端に付いているリングを取らないと大変に危険である。普通はピッケルが妥当である。
 13:18-28食事を摂る。ぼんやりと黒い盛りの真ん中を進むと、13:35御手洗ノ池に出る。といっても池は埋もれている。ここの黒い盛りの間は狭くなっているが、ここが登山道である。慣れない人は分かりにくい。抜けると広い窪地に出るが、降りないでそのまま左にトラバースする。
 幾つかの峰を越えると、13:52左の稜線下に池のようなものがある。亮平ノ池だ。そのまま残雪を下り、15:55久々に夏道となる。ここから烏帽子岳の登りである。
 ハクサンイチゲとミヤマキンバイの咲き始めた斜面を登りきって稜線を越し、残雪を黙々と登る。14:23ふと気づくと巨大な尾根雪の上に出たので、探すと下に夏道があった。注意していないと登山道を見過ごして上に行ってしまう可能性がある。
 お花畑のトラバースはひっそりとしており、14:28登りにかかる所から雪が付いていたので念のためピッケルを出したらすぐに夏道となった。
 14:37烏帽子岳山頂、三角点にカメラを置いて記念写真を撮った。この先はハクサンイチゲ・ヒメイチゲ・ミツバオウレン・ミネザクラが咲いている。かなり明るくなり暖かくなった、明日の天気に期待が膨らむ。
 梅花皮岳最後の登りで、雪が出てきた。この雪から登山道に降りる所が大変に悪く、柴を掴んだ。通過して振り返ると残雪が薄くなり穴が開いていた。大事故につながりやすい要注意個所である。
 15:00梅花皮岳山頂通過する。枯れている笹が目立つ。竹類はほぼ毎春、新しい葉に更新しますが、ある特定の期間に枯れた葉と新しい葉が同居する。これは「竹の秋」という言葉で春の季語になっている。
 15:20梅花皮小屋に到着する。周囲のお花畑は、ハクサンイチゲが盛りになり始め、オヤマノエンドウ・ハクサンコザクラも見かけられた。またミヤマガラシ・ミヤマハタザオが満開であった。
 翌朝、同宿の方々と一緒に丸森尾根を下ることになり、06:05梅花皮小屋を出発した。残念ながらカッパを着ての出発である。北股岳直下の登山道は残雪に埋もれており、ピッケルが必要である。バイカオウレンが咲いていた。
 06:39北股岳山頂通過。ギルダ原はハクサンイチゲ・ミヤマキンバイが盛りになりつつある。07:28-47門内小屋で休憩を取る。08:06扇ノ地紙通過。08:44地神北峰ここまで全て夏道であった。
 北峰から僅かに下ると一面雪世界、視界は50m程度だろうか。感を頼りに斜降していくと、夏道が見えた。ここは右から巻いて残雪の上を行く。
 何処を歩いているのか分からなくなり始めた頃、急斜面となる。右に落ちるとやっかいなので左に寄って下る。案の定、滑落し笹藪の中に飛び込まれた方も出てきた。
 あまり距離を置かないようにして下っていると、再び滑落された方がおり、下に回って止める。
 目の前を黒い藪が塞ぐ。丸森峰にしては形がおかしい。丁寧に観察すると真中に夏道があった。夏道は僅かですぐに残雪に戻る。傾斜が落ちてきたのでまっすぐに下ると突然に盛り上がった藪がでてきたので、夏道に入り09:28丸森峰に到着した。
 この先は夏道となるが、堀込みが一段と進んだような気がする。サンカヨウ・カタクリ・ツバメオモト・ミツバオウレン・ミヤマカタバミ・ガクウラジロヨウラク・ウラジロヨウラク・オオイワカガミ・オオバキスミレ・ヤマツツジ・エチゴキジムシロを楽しみながらひたすらに下る。
 10:40夫婦清水に到着する。本来の水場はまだ埋もれているが、その脇で融雪水が流れていた。周囲にはまだマンサクが咲いていた。
 最後の岩稜を下る途中で、今年始めてヒメサユリと対面した。12:20天狗平に到着。ロッジからブッシュの音がするので、皆と別れてから顔をだすと、PWDがロッジ周辺の草刈りをしていてくれた。

温身平の十文字から梅花皮小屋が遠望できた
落合
桧山沢吊橋は一応、渡ることができた
岩場にて休憩を取る
種蒔ノ池(御池ノ平)
上部を仰ぐ
長坂清水下降点
倒木
急坂
休場ノ峰
シラネアオイの群落
千本峰の標柱
タムシバ
登山道は雪の下、カッティングして右手端を登った
残雪の上を進む
慎重にルートを探りながら進む
自然の造形
宝珠山ノ肩、標柱が露出していた
嫌らしい残雪
手前側は何時崩壊しても不思議ではない
ミネザクラ
飛び跳ねる覚悟で進んだ
ウラシマツツジ
コメバツガザクラ
道は笹で覆われていた
コメバツガザクラ
葉の色が2種類ある
飯豊山々頂

続く⇒