登山者情報1,338号

【2010年05月15-16日/石転ビ沢〜梅花皮小屋/渡部政信他調査】

 昨年一緒に登ったAさん、Yさんから今年も石転びを登りたいとお誘いがあった。飯豊山荘までの道路が開通しておらず延期も考えたが、彼女達は早々に休みを取り日時が15,16日に決定した。前日までの季節はずれの寒気の影響で各地の高い山では雪の情報のもある。土日は回復傾向なので天気予報を信じての山行となった。
 集合場所の小国病院に集まり、梅花皮荘を目指す。梅花皮荘の駐車場に車を止めて、リーダーのECBより今回の参加者7名の紹介があった。ここから先のゲートは閉まっていた。
 飯豊山荘までの道路は雪崩の後も撤去され、8:30記念撮影をして飯豊山荘を出発した。林道にも所々雪が残っていたが雪とブナの新緑がとてもきれいだった。
 9:15砂防ダムに到着。一息入れ砂防ダムわきの階段を登って山道に入っていった。このあたりもブナの新緑が眩しい。うまい水は露出していて水量も豊富だった。10:00彦エ門平で小休止後、天候は曇りで稜線にはガスがかかっていた。婆まくれを通過して一部雪渓に渡り、地竹原から雪渓に上がる。
 11:20石転ビノ出合に到着。雪渓を見上げると途中から昨日降った真っ白な雪があった。下山してきたスキーヤーに話を聞くと北股沢出会い付近で15pほどの積雪がありそこから帰ってきたとのこと。これにはみんなで驚いた。小屋直下はラッセル?などと話しながら昼食を取り11:50出発した。
 先行者のトレースがはっきり分かる。標高1,100m付近から徐々に新雪が出始めた。ウサギ、カモシカなどの真新しい足跡もある。途中小規模の表層雪崩が左右の沢で発生していた。Yさんは新雪と聞いてパウダースノーをイメージしていたらしく、水分を含んだ重い雪にがっかりしていた。
 13:00本石転び沢の対岸で小休止。風がないので止まっても寒くはない。見上げると黒滝より上部はガスの中。先行者との距離もだいぶ縮まってきた。このあたりで足首の上までの積雪だった。
 北股沢出合までは見通しも良いので各々のペースで歩く。先頭は新雪なので疲れるが、後はトレースを使うため楽である。初めはHさんが先頭を歩いていてAさんに変わったらペースアップして高度を稼いでいる。付いていけるのは今年入会した竹田彰彦さんのみ。Aさんはマラソン、竹田さんは自転車のロードレーサー。後方は5人で景色を楽しみながらゆっくり歩く。
 ピッケルを刺した穴を覗いてみると何とも言えないきれいなブルーだった。写真で表現できないのが残念であるが現場でしか味わうことのできない感動の一つだろう。
 13:50北股沢出合に到着。雪崩を避け一息入れる。雪を掘ってみると新雪は20p位だった。徐々にではあるがガスが上がってきた。先行者に追いつきそうなペースである。ここからは一気に小屋を目指す。ガスが掛かる可能性があるのでここからはEHJを先頭に一団で歩く。中の島付近で一瞬ガスが晴れ北股岳が顔をだした。足を止め撮影タイムとなった。
 15:15梅花皮小屋に到着。小屋の裏には真っ白に雪化粧した大日岳がほんの少し頭を出していたが、みるみるうちにガスが晴れていきわずか15分位でガスが無くなり稜線がすべて見渡せるようになった。
 これには昨年ガスの中で景色を見れなかったAさんYさんも感動していた。皆が真っ白な大日岳、稜線を見るのが初めてで喉を潤す乾杯を忘れての写真撮影になった。
 一段落して夕食作りに取り掛かる。必要な物だけを持って管理棟に集合、乾杯となった。外の気温は0℃。キムチ鍋で体を温める。彼女達は外からエビの尻尾を取ってきてコップに入れそこに持参した梅酒、ハイボールを注いで楽しんでいた。いつものようにお腹いっぱい食べて飲んで21:30位(多分)には消灯となった。
 2:00過ぎ風の音で目が覚める。窓から外を見ると天気はいいようだ。日の出に期待してもう一度眠りに付く。4:00に目が覚めたが風は相変らず強い。外に出ると飛ばされそうな位である。ストーブを付けているとAさんが起きてきた。昨年のようにビールを手渡すと受け取ったので2人で乾杯しながら昨夜のキムチ鍋にうどんを入れ他の人が起きてくるのを待った。残念ながら日の出は見れなかった。
 朝食の準備を進めるが一向に風は弱まらない。小屋の外は氷の世界になっていた。リーダーのECBが起きてきたので下山について相談すると強風で北股岳の登りも凍ってる事を考えると出発時間を遅らせて石転びを下山した方が安全ということで朝食後まで風が止まなければゆっくり石転びを下山することとした。
 7:00になって朝食が済んだが風の止む気配がないので石転びを下山することとしてコーヒータイムで一息入れ、小屋、トイレの掃除をして9:30下山を開始した。
 ECBとEHJ以外はアイゼンを付けて昨日のトレースを利用して下る。以外に雪が柔らかい。途中、新雪を掘り下げるとなんとピッケル1本分(約60p)積っていた。最初は恐怖心があったYさんだったがコツをつかむとペースアップしてみんなに追いついてきた。 北股沢出合では待っていたAさんが雪だるまを作っていた。遠くには朝日連峰も見える。
 暫く下ると昨日はなかった雪崩の跡があった。2mを超すようなブロックがいくつも散乱していた。雪の上にはブロックが跳ねた跡があり、衝撃の大きさが分かる。
 10:45石転ビノ出合に到着。昨日は気が付かなかったが大岩の頭が少し出ていた。下山はあっという間で地竹原から夏通に上がり12:00彦エ門平で小休止。イワウチワの群生が出迎えてくれた。稜線方向には大きな虹がかかっていた。12:50砂防ダムを通過して13:30飯豊山荘に到着した。

※ 画像はEHJ・ECB・竹爺が撮影しました。
梅花皮荘駐車場で荷物を分けました
天狗平でズックから登山靴に履き替えました
記念撮影をして
さあ、出発です
昨年秋完成した偽木のゲートです
新緑の温身平
除雪は十文字まで
林道は雪に埋もれています
砂防ダムでひと休み
いよいよ山道です
雪の感触を確かめて
ブナを見上げると
雪の消えかけは柴が邪魔です
穴に落ちないように気をつけて
イワウチワが咲いていました
芽吹き
下ツブテ石
足場をよく見て
ブナの根元が「うまい水」です
うまい水の湧水
ここから「婆マクレ」です
落ちないように
よっこいしょ
地竹原から雪渓が出てきます
地竹沢で河床に降ります
雪渓が割れ始めています
今度は段丘に上がります
ちょっとした藪漕ぎです
ようやく雪渓に出ました
あとは楽チンです
梶川出合です
石転ビノ出合をめざします
こんなのが当ったら、痛いで済みそうもありません
石転ビノ出合が見えてきましたが、上は新雪!
呆然とするメンバー
な〜んて、ね
もうすぐで
石転ビノ出合に到着です!
石転ビ沢
よく見ると、先行者の方々が
ここで休憩しましょう
にっこり笑って記念撮影

続く⇒