登山者情報1,497号

【2011年10月18-19日/湯ノ平〜北股岳/井上邦彦調査】
 昭文社山と高原地図2012年版原稿の締め切りも近くなってきた。気になるのは西俣川沿いの登山道の崩壊状況、おういんの尾根の藪の状況である。前者については第1495号で報告したとおりである。今回は後者について実踏してみた。
 SMさんと一緒に予定より1時間以上早く加治川治水ダムに到着した。LTQとは無線で連絡することとし、先に湯ノ平に向かう。
 11:05頑丈なゲートの通路を通る時にSMさんはザックに付けた断熱シートが引っ掛かり四苦八苦していたが、なんとか無事に突破。程なくLTQから後を追っている旨の連絡があった。恐らく途中で追いつかれるだろうと思いながら、約8kmの車道をひたすら進む。赤津沢付近で新しい崩壊跡があった。
 12:50-13:06掛留沢駐車場では、10人程の登山者が食事をしていた。聞けば先ほど車で下りて行った方が山荘の管理人なので、今日から山荘は無人になるとのことである。掛留沢から水を汲んできて、私達も昼食とする。
 駐車場からは山道となるが、LTQはすれ違いに駐車場に到着し、やはり食事を取ってから後を追うとのことである。
 女風呂を見学していると、「オーイ」と呼ぶ声がした。LTQである。14:15湯ノ平山荘に到着。すぐに缶ビールを持って上流の蟹湯へ向かう。
 その後、貸しきりの山荘2階に陣取り、4人で楽しい時間を過ごし、暖かい冬用の寝袋(今秋始めて使用)の中で意識が薄れた。
 03:00SMさんの目覚ましで起床。寝袋などを袋に押し込め、蒜場山の整備があるというLTQとOPLに後片付けをお願いし、03:27ヘッドランプを頼りに湯ノ平山荘から登り始めた。
 梯子を登り、鎖場を過ぎ、一気に高度を上げる。湯ノ平山荘が標高500m、鳥居峰が860mで標高差360mある。04:15鳥居峰を通過する。以前の標識は見つけられなかった。所要時間48分であるからまずまずのペースである。地形図にある884mは北側を巻くが、これがなかなか嫌らしいトラバースである。ライトで良く見えない足元を探りながら通過する。
 05:24-34休憩を入れる。全体としてだらだらとした道であるが、登山道の手入れはさほどされていない。それでも苦痛になるほどではない。鞍部から右に曲がって沢状の溝を進むと二手に分かれる。正面の溝は木が被さり、紐が張られていた。右手の溝を進むと湿地にでて1,074m峰等の脇を抜けていく。ここは地形図どおりである。
 05:56滝見場の標識があり右手の飯豊川を覗くと不動滝の落ち口だけが見える。寅清水は標識も壊れ、踏み跡も藪化しているが、登山道から左下を覗くと昔の幕営跡地が見えるのでそれと分かる程度である。
 06:50中峰を通過する。草は一面霜で覆われていた。07:00-09休憩を取り、パンを流し込む。この辺りから背を越すネマガリダケの道刈りが始まっていた。07:20下山してきた大ちゃんとスライド、先に降りて山荘で待ってもらうことにした。道は広く笹を刈ってあり歩きやすい。
 何度も山頂かと騙されながら、08:02二俣を通過する。やがて登山道は右に曲がり、笹の背が低くなり、ひと登りすると08:35北股岳山頂に到着した。三角点脇にはまだ雪が残っていたが、降り注ぐ陽光の下で展望を楽しむ。するとSMさんが空を飛んでいるクモ(蜘蛛)を見つけた。沢山の小さなクモが糸を引いて山頂を舞っている。南陽市にある白竜湖の雪迎えを思い出した。暖かい上昇気流のある日に、クモ達は草の先に登り、糸を空中に放ち、風に乗った糸に吊り上げられるように、無数のクモ達が空に舞う、そんな内容だったかと記憶している。標高2,000mを越す北股岳の山頂で見る雪迎えに暫し見とれ続けた。
 09:13北股岳山頂、雪迎えに見送られて下山を開始する。帰りは早い、09:33二俣を通過し、10:12-29中峰で水場に立ち寄る。季節のせいか冷たい水に満足。その後は、見事な紅葉に酔いしれ、撮影に夢中になりながら、11:19滝見場を通過し、12:44鳥居峰で山頂の展望に分かれ、13:27湯ノ平山荘に到着すると、大ちゃんが待っていてくれた。下山後に入浴し仮眠を取っていたとのことである。私達が散らかした残骸はLTQとOPLさんが綺麗に片づけてくれていた(感謝です)。
 残っていた食材で腹を満たし、14:26湯ノ平山荘を後にする。15:06北股平、15:45掛留沢駐車場を通過し、結局一度も休むことなく歩き続けて、ライトを点けることなく、17:40ゲートに辿りついた。
加治川治水ダムにあるゲート ここから歩く
途中で猿が遊んでいた
目指すおういんの尾根
赤津沢の先で、最近重機が動いた跡があった
見上げると斜面が崩れたようだ
路肩に咲いていたリンドウ
掛留沢駐車場で休憩している方々がいた
掛留沢で水を汲み、私達も昼食とする
相変わらず遠方に伸びているおういんの尾根
北股川の吊橋
ツノハシバミの実が落ちていた
ようやく温泉が見えた
さっそく上流にある蟹湯(がにゆ)に向かった
追いついてきたLTQとOPLさん
著者も湯船で一杯
その後は、貸切の小屋で乾杯!
早朝 03:27湯ノ平山荘を出発 まだ少し眠そうだ
ライトを頼りに急斜面のトラバース
太陽が昇った
道脇の池には氷が張っている
1,320mにある池
中峰 一面霜に覆われていた
今年 刈り払われた登山道
すっきりした展望
二の峰(二ッ峰)
山頂が見えてきた
梅花皮岳方面
次第に近づいてくる北股岳
SMさんも快調の様子
洗濯平のうねりがはっきりします
恐らくは地滑り地形と思いますが、うねりによる池塘が沢山ありますあります
烏帽子岳
08:35 北股岳山頂に到着 梨にかぶりつきます
山頂からの展望です
御西小屋や天狗の庭も見えます
石転ビ沢
扇ノ地紙方面
二ッ峰
二王子岳
まだ雪が残っていました
沢山の「雪迎え」が飛んでいました

続く⇒