登山者情報787号

【2004年02月22日/徳網山/井上邦彦調査】

天気予報は雨、それが直前になって好転した。ともあれ、OTJ宅前に聳えている徳網山は何時か登ってみたい山の一つである。地図をにらんでコースを探る。以前に雪の学校で歩いた尾根は山スキーにちょうど良いように思えた。久しぶりで兼用靴を履いて登ることとした。前日、登山計画書を小国警察署・齋藤初男公園管理人・ODD・OTJにFAXで送る。
樋倉集落の駐車場に車を留め、雪上に登ってスキーを履く。高度計を300mにセットし06:26樋倉集落を出発する。雪は放射冷却現象で表面がクラストしている。杉木立に覆われた神社の脇を通り、宮ノ沢砂防ダムに出る。若干下流の橋を渡り急斜面に取り付く。急斜面を登ろうとすると、シールが効かない。06:31-40やむを得ず蛇シールから山羊シールに替える。沢の崖を登り切って雑木林を登る。380m06:49河岸段丘状の台地となる杉林となっていた。杉を避け宮ノ沢の右岸沿いに登るとブナのアガリコが2本あった。
尾根を順調に登って430m06:59小ピークで左から来る大尾根に出る。デフを縛る。その先もスキーに最適の緩い尾根だ。460m07:05若いブナ林の広い平坦地に出る。ここで右から尾根を合わせる。白太郎山の脇から太陽が昇った。07:15再び広場で右からの尾根を合わせる。青空の下、徳網山が聳えている。500mまで登ると大朝日岳方面が谷間に姿を広げ、反対方向に飯豊連峰が霞む。白太郎山は逆光である。左から尾根を合わせる535m小ピークは、素晴らしい展望であり、飯豊連峰と沖庭山からの県境尾根が輝いている。550m07:35左から大きな尾根を合わせる、左下は平坦地で絶好の幕営地となっている。
600m07:45-08:00ブナの森で食事とする。OTJと無線がつながり、アドバイスを受ける。OTJは昨日白太郎山に登り雪洞に泊まってきたそうだが、新雪に隠れたクレバスがあり、踏み抜いて大難儀をしたとのことである。徳網山々頂直下のナイフリッジに十分気をつけるようとのことであった。ブナの樹々を走るような音がする。ケラのドラミングかとも思ったが、リズミカルではなく断続的である。恐らくはリスがブナの幹を走り回っているのだろう。
630m08:10尾根が極端に広くなる。地図と磁石を出して確認する。636m峰を下から巻くようにして、08:18主稜に出る。もう一度、地図と磁石で確認して広大な斜面を進む。ブナの巨樹が多く、胸高直径が125cmのストックより大きなブナもある。右手から登り雪庇を越すと、目の前に鋭峰が聳えている。690m08:28-31スキーをデポしワカンを履き、鞍部にわずか下る。尾根の左端は土が露出している。胸を突く急登である。膝で足場を作りながら上る。230m08:43急登終えると、右から大尾根が合流し、目の前に山頂が見えた。雪庇や亀裂に注意しながら平坦な尾根を進む。
730m08:51−59尾根の左端に寄り食事を取る。先週登った鷹ノ巣山は特徴ある烏帽子岩でそれと分かった。OTJと交信する。750mから松が出てくる。雪庇を避けて雪の殆どない松の中を進む。780mには空堀を思わせる地形があった。ルートには所々刈り払った跡がある。地元のマタギが利用しているのだろう。
立ち枯れた松のある800mで、右手の垂直に立ったナイフリッジが出てきた。ナイフというより剃刀のように薄く、軽く手で触れただけで谷底まで一気に落ちていきそうな感じである。不安定な足場であるがワカンを脱ぎ、ストックとワカンをデポし、柴の出ている左の急斜面にルートを取る。急斜面を力任せに登り切り、815m 09:30-40徳網山々頂に立つ。ピークの雪庇が恐ろしいので、やや先に進んだ所出で休みOTJと無線交信を行う。朝日連峰主稜の眺めが素晴しいの一語に尽きる。
高度計を787mに設定しなおし、早々に下山を開始する。775m09:23ワカンとストックを回収し、そのまま坪足で下山する。750m空堀を通過、730m松が終わる。09:34-35ワカンを履く。
720m 10:06-28ここまで下れば心配はない。ノンアルコールビールを片手に食事とする。AQL、ODDと交信をする。10:33-35スキーデポ地に戻り、スキーを履いて歩き出す。10:37-47シールを剥がしてワックスを塗る。あとは快適に滑り、310m11:13樋倉集落着。居合わせたOTJと山の話をし、初男氏宅に寄る。初男氏によるとやはり熊狩り道があるとのことであった。

画像2  画像3  画像4