登山者情報905号

【2005年05月05日/権内尾根〜杁差岳/井上邦彦調査】

KDG山行を10日後に控え、コースの調査を行った。状況が皆目分からないので、自転車を車につけ、プラスチックブーツ(プラブー)・アイゼン・ピッケルをザックに入れた。スタートの履物は底が磨り減って凹凸の殆どないズック靴である。
大石ダムの先に車が入れたが、梁山泊へ上る林道との分岐点のすぐ先に雪崩跡があり、バイクが通った跡があった。ここで車をUターンさせ、自転車に乗り換える。03:10ヘッドランプを頼りに出発、途中にある数箇所の雪崩跡は自転車を持って越えたが、03:19巨大な雪崩跡が道を塞いでいたので自転車をデポし、歩くこととする。
03:28彫刻の森のゲートに到着する。ここで登山者カードを記入。03:38土砂が崩れ車道を塞いでいた。03:45大橋で東俣川の左岸に移ると、雪の上を歩くことが多くなる。03:50多くの杉が倒れている、雪崩の仕業だろう。04:03鉱山跡(水量観測所)を通過する。04:08鳥の声が聞こえ始め、ヘッドランプを消す。04:20コンクリート橋の上を水が流れており、バランスを失い片足を少々濡らす。04:28本流にかかる赤い橋を横目に見て、04:30慰霊碑を通過する。04:32雪は硬くなっており、ズックがつるつる滑って歩きにくい。
04:43東俣第1橋に到着する。朝にも関わらず本流の水量は多く渡渉はできないだろう。橋を渡り終えると、イワウチワ・ショウジョウバカマが迎えてくれた。
04:56-05:08三吉ノ峰分岐ここまでノンストップ、食事を取る。ムシカリ・ムラサキヤシオが咲いている。ここからヘツリ部分は雪がなかったが、ブナ林は一面の硬い雪斜面でズックにストックではかなり苦しい。靴のエッジを使い慎重に斜降する。降りきると湿地の登山道は底が消えた雪面となり、落ちないように右往左往して進む。
05:23-29東俣第2橋の袂に出る。対岸はいきなり雪の斜面が立ち上がっており、万一滑ったら東俣川まで一直線である。ここでプラスチックブーツに履き替えピッケルを出す。キックステップで夏道の斜上コースまで登る。慣れない方はコースを見つけにくいかもしれない。
05:37-42尾根上に出てから、再度ズックに履き替える。タムシバやムシカリ・オオバキスミレ・イワナシが咲いている。対岸の大境山や枯松山を懐かしく見ながら、爽やかな新緑の中、高度を稼ぐ。06:23デジカメのバッテリーを替える。後ほどデジカメで使用できなくなった電池を無線機で使用したら問題を生じなかった。デジカメは僅かに容量がなくなっただけで動かなくなるようだ。
06:32水場から先は急な雪面になっている。ピッケルを出し、一部カッティングをしながら上まで登りきる。06:43カモス頭は標識手前から夏道となり、周囲はこんもりとした雪に覆われている。06:50小峰(カエデノ峰)を越えると朝日連峰が見えた。飯豊連峰北端からの景観は、祝瓶山と似た鳥海山独特の姿が現れ、新鮮である。
正面に見上げる権内ノ峰の急登に雪が着いており、この部分の通過がポイントになりそうだ。07:00-12いよいよ権内ノ峰急登の雪にぶつかる。何はともあれ食事をしてルートを観察する。私だけなら雪面を直登すれば事足りるのであるが、あくまで今回はKDGのメンバーが無理なく通過できるかどうかが問題である。じっくりと観察の後、右の藪すれすれに登ると岩場となる。この岩場は夏道である。ピッケルを使用することなく、無事通過できた。10日後にはさらに問題が小さくなることだろう。
07:24権内ノ峰山頂には権内尾根特有の看板が立てられている。ここから千本峰を見上げるが、その先には前杁差岳が控えている。登山道脇にはオウレンやカタクリが咲いている。標高1,010mでカッティングをして登る。
右の尾根に雨量観測所を見て、07:57千本峰に到着する。目の前には右半分が藪、左半分が雪面の前杁差岳が覆いかぶさってくる。この部分で雪道を歩くとなると、KDG一行はかなり苦戦を強いられることになる。08:00-08夏道がなくなり、雪面がひたすら続いている。覚悟を決めてプラブーを履く。
歩き始めると、一部夏道が露出している。08:15小峰を右から巻くと夏道が出る。08:15雪を登ると夏道が見え、08:21から夏道となる。08:24-25雪道を歩く、08:30-31藪伝いの雪道を登る。08:32-33尾根の右手(ほかは全て左手)雪斜面は傾斜があるが藪沿いである。ここで本日唯一登山者とすれ違う。08:46−7と08:51-52に潅木の出た雪面を登る。小国で山焼き(蕨園)をしている煙が見えた。08:55-56緩い雪面となり、08:58には10m程度平らな雪面を歩く。キクザキイチリンソウ・エチゴキジムシロが咲き、鶯が鳴いている。
08-59-9:06前杁差岳で食事を取る。この先も夏道がかなり露出している。09:19-20平坦な雪、09:26まで夏道と雪道を交互に進むが、平坦な雪道で特別の問題はない。09:27から雪となるが急な部分には夏道が出ており、ピッケルを使わずに09:31長者平に到着する。湿原は一面の雪原となっており、窪地に夏道がある。夏道に下りずに雪の上を歩くと、小池で夏道になる。慰霊碑を過ぎ、09:40杁差岳山頂に到着し、記念撮影。無線で呼びかけると皆川氏から応答があった。
09:50杁差小屋に到着。小屋の周辺には雪が全くない。雪を取ってきて、誰もいない小屋の中でラーメンを煮る。
10:57ズック靴で杁差小屋を出発する。11:00杁差岳山頂を通過する。11:06長者平は一面雪で下の夏道が分かりにくいので、デフ棒が必要だろう。11:24前杁差岳、11:58千本峰、12:22権内ノ峰を通過する。雪崩の音が響き始めた。
12:49カモス頭からは慎重に下る。12:57-13:07食事とする。結局下山途中の休憩はこの1回のみであった。休んでいるとすぐ脇でサーゴーゴー!と雪崩が落ちていく。数はいないが今年初めてブヨが集まってきた。
13:33尾根から右手の夏道を斜下し、ピッケルを手に慎重にブナ林を下る。13:39第2橋、13:52三吉ノ峰分岐を通過し、14:03第1橋に到着した。
14:16赤橋を通過、14:29末沢が合流、14:34鉱山跡、14:47大橋を通過し、15:03彫刻の森のゲートで登山者カードに下山の旨を記入する。15:12-15自転車を回収、15:21車を止めた雪崩跡がスコップで誰かにより掘られていた。

全行程

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