登山者情報911号

【2005年06月07日/梶川尾根〜石転ビ沢/井上邦彦調査】

10日17:00から交通規制が解除され車が天狗平(飯豊山荘)まで入れるようになる。その前にルート状況を確認するため、梶川尾根・石転ビ沢を歩いてみた。また今回は夏用の服装に軽登山靴を使用した。
05:24大淵に車を置いて自転車で入山した。坂道は何度か押して進んだ。天狗橋袂の水場で水を汲み、05:55開いている湯沢ゲート(10日には閉鎖されるだろう)近くに自転車をデポする。高度計を450mにセット。
湯沢橋を渡ってすぐ右手の梶川尾根に取り付くとヒメシャガが咲いていた。06:23、730楢ノ樹曲リ(仮称)には誰かがケルンが積まれていた。ヤマツツジ・ムラサキヤシオが咲く中を登ると、左道脇に雪が出てきた。06:39、870m船窪の中の登山道で僅かに雪を踏む。急坂を終え、990mで湯沢峰ノ肩に上がると、主稜が見えた。タムシバ・ムシカリ・マンサクが咲き、右の窪地には十分な雪が残っていた。
07:01-08湯沢峰で高度計を1,035mから1,020mに直す。標柱はしっかりしていた。食事をしているとブヨが寄ってきて煩い。下ると雪の上に出て、右手に梶川峰が聳えている。鞍部から右に行く踏み跡は水場(枯れていることが多い)への道である。夏道を辿るとオオイワカガミ・カタクリ・イワウチワが咲き、タムシバの香りに包まれる。
07:35、1,135m滝見場は雪に覆われている。ここからは所々夏道が出ているものの大部分が雪の上を歩く。タムシバ・マンサクが多い。池の部分は窪地となり雪の急斜面が伸びている。
07:46-56雪の上で食事を取りピッケルを出す。休むとブヨが煩い。頭上の小さなガレのある藪を左から巻くように登ると夏道が出てくる。スプーンカットとサイドのキックステップで登ったが、アイゼンが必要な方も多いだろう。
夏道にはキクザキイチリンソウ・ショウジョウバカマが咲いている。すぐに再び雪上となる。下降時はルートを失いやすい所だ。雪上の左脇には夏道が現れ始めている。08:15、1,360m五郎清水の広場も雪に覆われている。水場への夏道が露出しているので下山時は迷わないこと。
五郎清水から夏道となる。08:27三本樺(仮称)を見上げる1,450mで融雪水を飲み、雪上を登る。右の稜部を詰めると夏道が出てきて、08:40、1,545m三本樺に着く。エチゴキジムシロが咲いていた。微風があるとブヨが去り、涼しくなって助かる。1,590mトットバ沢源頭で雪上になる。ここも下りにルートを失いやすい所だ。傾斜が落ち藪に入ると夏道になる。ノウゴウイチゴ・ミヤマカタバミ・ミツバオウレン・シラネアオイ・イワカガミが咲いている。
09:00、1,700m梶川峰の標柱で食事とする。ミネザクラが満開であり、ミツバオウレン・イワナシ・ヒメイチゲ・ノウゴウイチゴが咲いている。鞍部からケルンへの登りの雪上で水筒に雪を詰めて補充する。
09:18ケルン付近にはハクサンイチゲ・ミヤマキンバイが咲いており、お花畑に入らないようロープを張り直す。夏道を進み、09:28、道が広がり登りとなる1,780mから雪道となる。穏やかに起伏を重ねる尾根上から眺めると、北股岳と梅花皮岳の鞍部に顔を覗かせている大日岳の表情が変化していく。草地は雪の下、藪を越えて尾根の西側に移る所から夏道になる。
最後に雪面を登って09:45、1,875m扇ノ地紙に到着する。広場は完全に雪に覆われているが、稜線の夏道と標柱は露出ている。ここから北股岳までは全て夏道を歩くことができるが、雪庇の方が楽なので途中まで雪の上を歩く。遭難慰霊碑から下る途中の斜面にミヤマキンバイとマクサンイチゲが咲いており、二王子岳を背景に何枚かシャッターを押す。
最低鞍部には若干の融雪水が流れており、気にならない人であれば利用できるだろう。10:03門内小屋は特に問題もない。ヒメイチゲを見ながら、10:07門内岳山頂の祠を通りギルダ原へ向かう。巻き道が合流する所に融雪水が流れていた。お花畑は全体としてまだ綻び始めたという感じだ。これからが本番である。10:33-40北股岳を途中まで登った所で、北方の主稜を眺めながら食事を取る。恐らく今日は誰とも会うことはないだろう。
10:58-11:08北股岳山頂にてセルフタイマーで記念撮影。湯ノ平(オーインノ尾根)方面の標柱には、下山しないようにとの看板が付けられていた。ODDと無線交信をして下山する。
山頂から僅かに進むと雪斜面になる。この斜面は石転ビ沢に直結している。ピッケルを出し、右側の笹原を意識して登山道に向かってキックステップで慎重に下る。
11:20-12:20梅花皮小屋に到着する。水場は使用可能だが、水槽の水がオーバーフローしていない。まだ水洗トイレは使用できない。水圧が低いのかも知れない。
小屋の周辺にはハクサンイチゲ・ミヤマキンバイ・ハクサンコザクラが咲き始めていたが、ハタザオが盛りになっている。特に小屋の後ろ(大日岳側)は、一面のお花畑となっており驚かされた。
小屋で休憩の後、石転ビ沢をグリセードで下る。小屋で飲んだ缶ビールのせいか息が切れるので、途中何回か一息入れる。黒滝付近の亀裂は事前に計算済みなので難なく通過する。12:35ホン石転ビ沢出合を通過し、その下で休憩している単独の登山者とスライドする。途中で右岸のブロック崩壊が亀裂で止められていた。
12:50石転ビノ出合に到着し、ピッケルをザックにつける。幸七尾根(門内沢と石転ビ沢の間)末端の水場は前回よりも量が増えていた。合流点左岸のブロック崩壊は続いている。また合流点下流右岸の水場には近寄れない。合流点から若干下った赤滝上の藪が露出し始めており、赤滝右岸の水場も露出しており、今後はこの付近のルート選択も必要になってくる。梶川出合上の水場付近の大岩が幾つか頭を出した。
13:06地竹原最上部で夏道に入る。そのまま下ると雪渓が崩壊して通れないので注意すること。キクザキイチリンソウ・オオバキスミレ・サンカヨウ・スミレサイシン・エンレイソウ・ニリンソウ・カタクリ・タムシバ・ムシカリなどが咲いている。近大慰霊碑は満開のサンカヨウとニリンソウに囲まれていた。
地竹沢を通り婆マクレも足場が良くなってきた(登山者が通ることによって独りでに道ができる)。13:24うまい水は僅かの雪を残すのみとなり、下ツブテ石の沢の雪崩跡も殆ど消えていた。ブナ林の中の倒木は以前として邪魔だが、何となく山側に踏み跡ができていた。
13:45上の砂防ダムからは林道歩きになる。ウワズミザクラ・トチが咲いている。14:10湯沢ゲートで自転車を回収、飯豊山荘にはオープンに向けて準備が行われているようだった。天狗平ロッジはまだ鍵がかかっている。これからオープンの準備を行うことになる。タニウツギやフジの咲く中、自転車で快適に下山する。途中何箇所かで道路の補修工事が行われていた。14:29大淵着。

今回のコース

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