登山者情報957号

【2005年10月16日/祓川〜松平峠〜三国岳〜上ノ越/井上邦彦調査】

雨は上がるという天気予報を信じ、自宅を出発。弥平四郎集落のゲートは予想通り閉じていた。最奥右手の屋号(赤)宅で登山者カードを記載し鍵を借りる。昨年破壊された車道は丁寧に修復されており問題なく林道終点の駐車場に到着。山形ナンバーの数台が停まっているのみ。山から下山してきた地元の方と話す。森林管理署から払い下げを受けてナメコ栽培をしているとのこと。
07:29駐車場発、登山道入口の看板を撮影しようとしたらバッテリー不足の表示が出た。新品の乾電池に取り替えるが、やはりバッテリー不足。非常用のリチウム電池に取り替えたらようやく正常に作動した。どういうことなのか不明?
07:41登山道に入り、ジグザクの道を下る。手作りの橋にロープが渡されていた。問題なく通過する。尾根に取り付くと既にブナが色づいている。登山道の脇には丸太が転がって、網で登山道と仕切られ「栽培ナメコ」の標識がつけられていた。
07:50-52祓川山荘に立ち寄り確認する。小屋内の水も出ていた。登山道両側の栽培ナメコはそろそろ食べられそうだが、ここは見ないようにして歩を進める。登山道脇には僅かだがナラタケが出ていた。程なく大勢のパーティに追いつく。男性は三角袋を持ってナラタケを採りながら歩いていた。話しかけると山形市から来たという13名程度の中高年パーティ。道を譲って頂き登る。
先週は空腹のまま尾根に取り付き、最後まで空腹に悩んだので、今回は車中でお握りを2個食べてきた。そのせいか快適に高度を上げる。08:33-36◇十森で水を汲む。この辺りになると木々は一面に色づいている。
08:48松平峠で左折する。標識を探すと、頭上に小さな板切れが下がっていた。ガスのため対岸は何も見えない。砂礫の尾根を登っていくと、2本のダケカンバが現れた。猪鼻の水場である。09:12-17ダケカンバの幹に「清水→」の標識が付けられている。登山道を横切っているトラロープに従って右手の藪に入る。スラブ状の道があり、トラロープを掴んで下りきると湿った小沢にカップが落ちていた。ここで藪をよく観察すると左手に踏み跡を見つけ、僅かに小尾根を越すと、水量の豊富な小沢があった。水場まで下り1分15秒、登り1分5秒であった。登りが早いのは、下りで踏み跡を探した時間を要したからである。
猪鼻からひと登りすると、09:24左の尾根道を合わせ「疣岩分岐」の標柱が立っていた。ここからはブナとダケカンバの葉が落ちた平坦な道を歩き、09:28獅子沼分岐を右折し、僅かに登ると疣岩山の肩に出る。明るさが増し、主稜南部が見えてきた。09:33-42平坦な山頂部の端に疣岩山の三角点がある。標識はない。腰を下ろしお握りを頬張る。両側の奥歯がないので食べにくい。無線を開けると山形県岳連理事長の粕川君と繋がった。彼は昨日、蔵王にある山形山岳会の山小屋に泊まり、これから岩登りに移動するとのことであった。三国岳までの尾根の右半分はガス、左は種蒔山付近まで見える。駒返しで銀マットが光ったように感じた、登山者がいるのだろう。
疣岩山から紅葉を楽しみながら下る。登り返しも殆ど苦にならない。浅草とその上部で右に入る踏み跡がある。10:03古い標柱があるが、これは松ノ木尾根に登山道があった名残りである。
10:09-48三国小屋に到着すると登山者が2人小屋の外で休んでいた。話をすると、今夏に御坪で大量にヒメサユリを盗採した犯人とすれ違った方であった。ラーメンを煮るために昨日購入したガスコンロを組み立てた所、全くガスが出ない。器具を操作しているうちに分解してしまい、今度は組み立てができない。やはり器具は下界で一度テストしてから山に持ってくるものである。冷やしてきた缶ビールはちょうどよい温度である。つまみに予定していたラーメンをそのまま齧るが、硬い。何時ものチャルメラでなく自宅にあったラーメンを持ってきたのだが、歯の悪い私にはまさしく歯が立たない。しかたなくお握りをつまみにビールを飲む。下山の準備を始めた頃、女性の単独者が川入から登ってきた。100名山希望で飯豊は97峰目とのことである。聞くと、ツアーに参加して100名山を目指している。今回は都合で一人なので不安とのこと。熊は居るかと尋ねられたから、幾らでもいるよと答えた。彼女が開いたのは、ガイドブックの1頁を切り取ったもの、「まさか地図や磁石は持たないで登っているの?」と質問しかけて止めた。今日は本山小屋泊まりとのこと、明日の天候もそれほど荒れないだろうから、ここで脅かしてもしょうがない。ルート上の要点だけを教えて、先に山頂を後にした。
再度、紅葉を楽しみながら戻る。11:14疣岩山々頂には追い越した山形パーティが休んでいた。11:18獅子沼分岐で直進し沼まで足を伸ばしてみた。大日岳はガスの中、どうということのない湿地であるが、誰かがミズゴケを掘り起こしたような痕があった。登山道はよく手入れされていた。11:20分岐に戻り、11:25疣岩分岐から右手の尾根に入る。煌びやかな尾根道は昔と違い良く踏まれている。単独者とすれ違い、どんどんと高度を下げて行く。残念なのは大日岳が見えないことであるが、欲をかいては行けない。
12:05-15上ノ越で最後のお握りを頬張る。ラーメンが駄目だったのは計算外、残るは非常用のウィダインと本当の非常食だけである。
先ずは尾根のトラバースとなるが、風化した岩場が連続しており、足場に注意しながら下る。途中で小沢を過ぎるがここの水場は何時も当てにならない。ブナ林の中に入ると巨木が多い。金色に包まれたブナ林を進む。この尾根は広く平坦な箇所があるが、極相林的な雰囲気がない。もしかすると伐採を経験しているのかも知れない。最後に尾根が急になりナラが混じってくる。12:53-13:10休憩し、僅かに下ると湿った河岸段丘となり右に折れると小沢を渡り、13:16駐車場に着いた。
今回のコース
疣岩山
獅子沼分岐
疣岩分岐
猪鼻の水場

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