登山者情報975号

【2005年12月25日/町境:622m峰〜600m峰/井上邦彦調査】

 先週(第974号)では、新雪に阻まれて林道歩きのみで終了してしまった。地形図を睨み、今回は尾根を登り622m峰まで往復し、状況が許せばさらに南下する計画を立てた。計画を山岳会のメンバーに周知したところ、NIYが参加を希望してきたので2人での山行となった。また今回は新型のGPSの試験を兼ねて、NIYが新型を私は従来型を使用してみた。
 05:33胡桃平奥の除雪終点着に着くと、NIYが待っていた。ここでビーコン・プローブ・GPSをNIYに渡し、登山靴を履いて出発の準備をする。暗いため現在地がよく分からないが、胡桃平集落先の橋を渡り大石沢川の右岸にいるようである。
 06:07ヘッドライトを点けたままスキーを履いて出発、すぐに杉林から取り付き、雑木の斜面を登ると平坦な杉林となった。スキーはくるぶし程度しか沈まない。シールはNIYがモヘア、私はスネークを使用した。
 542m峰からなだらかな細い尾根を進み、やがて前回通過した鞍部から登ってくる尾根と合流し、642m峰に着く。下に前回苦労した平出沢の林道が見えた。
 いったん下って登り返すと、広い傾斜のあまりない尾根となり、現在地の特定が難しいエリアに突入した。NIYが頻繁にGPSで確認する。私は感覚だけでどんどん進むので時折NIYからチェックを受ける。
 07:57町境に出る。雑木林の中に太いブナを散見する。ここから第971号の終点を目指し北上するが結構遠く感じられた。伐採跡の雪原を通り、杉の植林地と雪庇が嫌らしい尾根上を進んで雑木林に入り、2本の大きな木を見つけた。
 08:40-58ここが目標の622m峰である。一応少し先に行き、第971号で登ってきた尾根を確認して間違いないと確信する。プローブを突き刺してみると、240cmの積雪であった。帰りはトレースがあるのでスムーズ、09:15先ほど町境に出た所に戻った。
 この先の町境はうねうねと曲がっており、尾根が広いため方向が分かりにくい。大まかな方向をコンパスで取って進む。
 NIYから「正確な町境はもう少し左でないか」とアドバイスを受けるが、忠実に町境を辿るには尾根が広すぎて、どうしてもショートカットしてしまう。
 雑木に覆われて尾根の流れが良く分からない。正確な現在地が分からないと地図と磁石を使用しようとしても混乱するばかりである。小さなピークの上でNIYはGPSと睨めっこして動かなくなった。
 私は小ピークから左方向にやや下って伸びている筈の尾根を探すが、分からない。もう少し右手に大きな尾根があり、そこから前方に伸びているような気がするので、トラバースしてみるが、尾根の先がない。さらに左にも大きな尾根があるので、左に進む。すると前方にトレースが見えた。先ほどからカモシカが私達の前をうろうろしているようだ。このトレースがカモシカの物なのか私達の物なのか判別がつかない。ともあれトレースに近づいてみると、スキーの跡つまり私達のものであり、私は一回りしたことになる。
 いったんNIYと合流し、右の斜面を下ってみる。案の定、下部に尾根が見えた。ひと登りすると左側は植林地である。目の前に大きく迂回する尾根が見えた。
 10:17、581m峰からの下りは狭く急なので四苦八苦でスキーを操る。細いブナの木を掴んでストップしようとすると、頭の上から雪塊の直撃を受けた。2度ほど転んでなんとか突破する。
 10:30-34GPSで現在地を確認しようとしたところ、ザックカバーがなくなっている。風がないので固定をしていなかったが、藪を通っている時に引っ掛けたらしい。後続のNIYも気がつかなかったとのことである。さらにザックのポーチに入れておいた筈のノート(鉛筆を紐で結んでいる)もない。こちらはポーチのチャックを完全に閉めないで歩いていたせいだろう。先ほど滑降する際に2度転倒しているがその時かもしれない。とすれば探しに戻るには進みすぎた。また白いノートなので雪にまみれれば分からないだろう、諦めるしかない。
 左の尾根と沢を意識しながら登る。山頂部に着くと何処が何処やら分からない。ともかく651m峰の手前を目指すと、11:19雪原に出た。おそらく此処がVターンの先端であろうと考える。青空が広がってきて何とも良い気分である。此処の積雪は270cm、これ以上になると私のプローブでは測定不能となる。
 コンパスで方向を定め、下降を開始する。例によってNIYはGPSで確認しながら後方にいる。尾根の行く手がすとんと落ち込んでいる。地形図では登りにならなければならない。後方から「もっと右手でないか」と声がかかる。コンパスどおりに進んでいるのだが、私のGPSでは解読できない細かい地形があるようだ。戻りながら小沢をトラバースして進路を補正する。
 小峰を越えた600m付近で、大休憩とする。こんなに天候が良ければラーメンでも持ってくるのであったと後悔、NIYからビールを一口分けてもらう、美味い。私はシールを外す。
 快適に進むと、NIYが「そろそろ林道がある筈」と言う。探すと左手に林道があった。暫く林道を歩きながらこれからのルートを相談する。このまま林道を下る予定であるが、むしろこのまま尾根を下り途中から左に下った方が、迂回せずに行けそうである。
 尾根を下っていると植林地に出た。ここから斜めに杉林の中を下る。時折ある空間では回転もできた。沢に入ってきた所で林道を確認し、いったん尾根に上がり尾根を下って右の杉林に突っ込み、13:08赤沢林道に出た。
 林道にはロール状の雪崩が落ちていたが特に問題はなく、沢の分岐で林道を合わせる。13:21県道に出る。道脇の杉林では雪塊が絶え間なく落ちていた。
 13:50車に戻り、AXLの自宅に下山報告をして今回の山行を終えた。

今回のコース

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