登山者情報993号

【2006年04月08日/西俣尾根〜頼母木山/井上邦彦調査】】

 メンバーはAXL・EHJと3人。山岳会の総会前に稜線まで行ってくる計画、天候は午後から雨の予報、早々に登って下山したい。昨夜からの好天の割には気温が高い。スキーにするかカンジキにするか出発直前まで悩んだすえ、スキーを置いていくことにした。なお標高は高度計で計測したが、低気圧が近づいてくるのに従って誤差が大きくなっていった。
 高度計を300mに設定する。隆蔵氏の見送りを受けて06:08民宿奥川入を出発する。凍み雪にはなっていないが、カンジキなしで充分歩ける。夏道手前の沢から斜めに高度を上げ、数mの藪を漕いで尾根(夏道)に取りついた。岩場は夏道が露出していた。部分的に嫌らしい雪もあるが全体としては問題がない。EHJが登っていくウサギを見つけた。
  急な夏道を登り、雪斜面を横切って06:45主尾根に出る。足元に綻んでいるイワウチワ(地元名:ツチザクラ)を見つけた。それにしてもマンサクは全く咲いていないのが不思議だ。560mで夏道が終わり雪歩きになる。対岸の倉手山を見ながら歩いているとAXLがカモシカを見つけた。
 07:17-29雪に埋もれた十文字ノ池で食事を取る。飯豊山が見えている。大渕から天狗平までの林道を見下ろし観察する。雪崩の発生が遅れていると感じた。吹き付けの上部にまだ沢山の雪塊が残っている。(マタギの先輩の話でも今年は危ないとのことであった)
 急斜面を登り左から来る尾根と合流し右折すると、頼母木山に続く県境尾根が広がる。1,070m (1,023m差+47m)08:06西俣ノ峰山頂に到着する。数枚写真を取り、すぐに歩き始める。西俣ノ峰から眺める杁差岳は、地蔵岳から眺める飯豊山と何処か似ている気がする。雪庇の亀裂に注意を払いながら幾つかの隆起を越えていく。進むに従ってしだいにガスが降りてくる。
 1,230m(1,184m差+46m)08:51-09:05枯松峰で食事を取っていると雪が降り始め慌ててカッパを着る。鞍部を過ぎオオドミを越えてブナ林を登る。1,410m09:42ダケカンバが出てきて、1,470m09:51森林限界に出る。ここからやや右に斜登し、平坦な三匹穴の雪原となる。左の露出した石に立っていた遭難慰霊碑は昨春設置者により撤去された。
 登るに従って視界が消えていく。三匹穴上部にデフ棒を1本立てる。誰かが立てたデフ棒もあったが、全く方向違いに立てられてあった。自分のデフ以外は当てにしないのが良いと思う。尾根のやや左寄りを登るのがコツである。クラストの上に新雪があり、雪板状に崩れる。後ろを歩いている2人が見える距離で登る。
 1,750m10:47騙シ峰を過ぎた所と判断し、デフ棒を立てる。この先は平坦であるが方向が分からない。風も強くなってきた。感覚を頼りに進むと登り斜面になったので山頂方向と確信する。クラストが氷になってきた。さほどの傾斜ではないので、靴のエッジでバランスを保ち登る。
 尾根筋に出ると激しい風となる。1,830m(1,720m差110m)10:58頼母木山々頂に到着する。記念撮影をするが、まともに風上に顔を向けられない。予定では頼母木小屋までだが、天候はこれからさらに悪化するだろう。急遽ここから下山することにした。ピッケルなしでは無理と判断し、ストックをピッケルに替える。
 下り始めるが、トレースはない。本来なら地形図とコンパスで方向を確認しながら下るべきであるが、直感でルートを探る。やがて平坦地となり、右手にデフ棒を見つけた。後は斜面を巻くように下るが、何処まで巻いているか分からなくなった時に、こんもりとした藪を確認し、現在地が判明した。この藪の右を巻いて、途中から真っ直ぐに下る。何処に下りていくのか分からない。
 11:26三匹穴の上端に立てたデフ棒を見つけた。ここまで来れば、右手のダケバンバ群集を目印に進み、11:32森林限界に到着した。風は稜線に比べれば問題ないが、思ったよりも弱くならない。記憶ではブナ林の右端を進めばよい筈であるが、念のためGPSで確認するとやや右手に寄り過ぎていたので訂正する。
 11:52-12:03オオドミで食事を取り、12:15枯松山を左から巻いて越し、12:46西俣ノ峰を通過する。標高を下げたにも関わらず相変わらず風がある。稜線は見えず、かなり荒れていることが想像できた。
 13:10-19十文字ノ池で食事を取り、枝尾根の途中から左の沢を下って13:48沢口に着く。雨がぱらついてきたので先を急ぎ、13:57奥川入に到着すると同時に雨が降ってきた。

今回のコース

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