会員の山行 225号

【2011年09月10-11日/北アルプス:針ノ木岳、蓮華岳/木内茂雄調査】

【タイム】
(9/10)扇沢針ノ木岳登山口12:37〜12:59車道より登山道に入る〜13:10針ノ木雪渓見える〜13:43大沢小屋13:48〜14:48大滝下高巻き開始〜16:33針ノ木峠:針ノ木小屋
(9/11)針ノ木小屋5:52〜6:42針ノ木岳山頂7:10〜7:40針ノ木小屋7:45〜8;41蓮華岳9:17〜9:54針ノ木小屋10:08〜10:22右岸に〜10:54左岸に〜11:12高巻き下部(大滝下)11:19〜11:59大沢小屋12:05〜12:42車道に出る〜13:01扇沢登山口
【記 録】
(9/10)
 天気予報では、9月11日は曇りで天気が悪そうだが、残雪の少ない針ノ木雪渓が見たくてやって来た。
 仕事の都合で出発が遅かったので、歩き始めが午後となってしまった。しかし、針ノ木小屋までコースタイムは5時間位なので焦らずに歩く。登山口は山道で始まるが車道を3回渡り、それから本格的に山道となる。潅木帯とブナ林を歩く事、1時間強で大沢小屋に着く。玄関は閉じられていて、傍らの岩には百瀬慎太郎のレリーフが埋め込まれている。此処までに見た花はメタカラコウとオヤマリンドウである。
 小休止後、相変わらずの潅木帯を緩やかに歩くが、途中、右側より降りてきている、枯れ沢、丸太橋の有る沢などを渡る。オチクラブシを見ながら、やがて、雪の無い針ノ木雪渓に出て、右岸に渡り、左斜面を歩く。道は整備されているので、沢に落ちる様な事は無い。そして、遠くから見えていた残雪の手前で大滝に遮られる。此処で一服してから、飛び石で左岸に渡り、高巻きの登り開始となる。
 少し脆い岩を登るが、ロープ、鎖、土嚢で整備されているので慎重に登れば問題無い。唯、見下ろすとかなりの高度感は有る。高巻きを登り切ると下る事も無く、右斜面トラバースして行く。途中にはウサギグクがまだ咲いているし、ミヤマアキノキリンソウイ、トウヒレン、ハイハタザオ、モミジカラマツ、ミヤマオトギリソウ、ヨツバシオガマ、イワツメクサ等が咲いている。そして、道は右岸に移るとウメバチソウも咲いている。此の辺りはお花畑と言われているようだ。暫く左斜面を歩くが小潅木とキイチゴの群生地になる。見るとキイチゴが丁度熟していて、大粒のイチゴが食べ放題である。これは一息つける!!!!
 やがて、草木も無くなり傾斜がきつく成り出すと、道は再び左岸に渡る。此の辺りに来て、上を見上げると鞍部が見え、針ノ木峠の標識が見える。そして、更に斜面は急傾斜になるのでジグザグ道に整備されている。標識は上部に見えるのだが、なかなか着かない。気持ちが焦る頃、イワギキョウとミヤマリンドウが出迎えてくれて、直ぐに針ノ木峠(針ノ木小屋)に到着する。此の頃は霧で遠望は利かない。
 平成20年7月の有雪時に下った時は、飯豊連峰の石転び沢より傾斜が緩いと感じたが、今回登って見ると同じ位な傾斜に思えた。夜中、外は月夜でそのまま、明日は晴れてくれよ!と期待する。
(9/11)
 朝、外に出て見ると快晴!!!小屋の前は雲海で、中央に南沢岳、不動岳、小さく烏帽子岳、遠くに左から三ツ岳、水晶岳、赤牛岳、更に遠くには穂高岳、槍ヶ岳が見える。雲が無ければ富士山も見える筈。小屋の裏側の針ノ木峠の標識に立つとスバリ岳、と雲海に浮かぶ鹿島槍ヶ岳が見える。針ノ木岳は手前のピークに遮られ見えない。
 少ない登山客で、ユックリと朝食を済ませてから、まず、針ノ木岳を目指す。小屋裏のテント場を過ぎて、差程急でない道を登って行くと、やがて、針ノ木岳が見える様になり、スバリ岳との鞍部の間からは勇壮な剣岳が見えてくる。まだ元気なせいか、苦労する事も無く、50分で針ノ木岳山頂に着く。先程来見えていた槍ヶ岳は勿論、穂高連峰、薬師岳、五色ケ原、立山、剣岳、そして三ツ岳、水晶岳、赤牛岳、下には黒部湖、おまけに湧き上る霧にブロッケン現象が発生する。振り返れば朝日に逆光気味に蓮華岳が雲海に浮かんでいる。そして、微かであったが富士山が見えた。この景色に文句の言い様も無く、全部歩いた山々を懐かしく思い出す事、暫し。
 何時までも山頂に居たいが、もう一つ登るため、この感動を心に留め針ノ小屋へ引き返し、そして、蓮華岳の登りにつく。少し傾斜が有り、ドンドンと高度を稼ぐ、振り返れば針ノ木小屋は大分下になり、その向こうには針ノ木岳が良く見渡せる。一気に登り切ったところが山頂と思っていたら、その先が有り、道理で時間が早過ぎると納得する。道はなだらかで辺りを見回して歩いて行くと、咲き遅れのコマクサ、イワギキョウ、トウヤクリンドウと、ウラシマツツジとオンタデの紅葉、そして、キバナシャクナゲとミヤマダイコンソウの葉等を見つける。
 40数年前の私の記録を見ると、蓮華岳の山頂はだだっ広いと記載されている。此の時は恐らく霧で見通しが悪かったのだろう。でもそれが連想される程、緩やかで、二つ目の緩やかなピークを登ると、その向こう遠くに、緩やかな登りの蓮華岳が見える。その山肌には赤黄色い物が見える。近くに行って見るとオンタデが紅葉していて、つまらない花でもとても綺麗である。
 山頂でユックリと休憩して、流れる雲に時々顔を出す、鹿島槍ヶ岳、爺ケ岳、遠くの唐松岳とその奥に白馬岳を何回も写真に納める。天気予報と違った快晴の山々を何時までも眺めて居たいが、今来た道を引き返し、針ノ木峠から霧が湧き始めた雪の無い雪渓を下り、扇沢へと向かう。
針ノ木岳登山口
本格的登山道入口
メタカラコウ
針ノ木雪渓を見渡す
オヤマリンドウ
ブナ林の説明
ブナ林
湧き水の説明書き
大沢小屋玄関は閉じられた
大沢小屋全景
大沢小屋前に有る標識
大沢小屋に有るレリーフ
百瀬慎太郎の説明
雪の無い針ノ木雪渓
オチクラブシ
雪の無い針ノ木雪渓
針ノ木雪渓を見下ろす
ウサギギク
大滝下の高巻き下部
高巻き時残雪を見下ろす
トウヒレン
高巻きを見下ろす
ハイハタザオ
ヨツバシオガマ
モミジカラマツ
残雪を見下ろす
ミヤマオトギリソウ
残雪を見下ろす
ミヤマダイコンソウは終わり
ウメバチソウ
イワツメクサ
ミヤマリンドウ
チングルマの種
針ノ木雪渓を見下ろす
上部は傾斜がきつくジグザグ道
峠近くにイワギキョウ
針ノ木峠
針ノ木小屋
針ノ木峠小屋
針ノ木小屋前にて槍ヶ岳を引き寄せる
針ノ木小屋前の朝右は鹿島槍ヶ岳
スバリ岳を望む
雲海に浮かぶ鹿島槍ヶ岳
針ノ木小屋前にて槍ヶ岳を望む
針ノ木小屋前にて三ツ岳を望む
針ノ木小屋前より左水晶岳、右赤牛岳
中央に南沢岳不動岳小さく烏帽子岳、遠く左より三ツ岳、水晶岳、赤牛岳を望む
穂高岳、槍ヶ岳を望む
針ノ木峠テント場より槍ヶ岳を望む
針ノ木小屋と蓮華岳を望む

続く ⇒