登山者情報865号

【2004年10月16日/石転ビ沢〜梶川尾根/井上邦彦調査】

15日の山岳対策協議会で、梅花皮荘から地神山の初冠雪を確認したと聞き、午後に雲の切れ間から真っ白な飯豊山を確認した。
先週ODDが梶川尾根などから確認したところでは、まだホン石転ビ沢出合下の雪渓は崩壊していないとのことであるが、確認のため実踏してみることとした。
前夜は職場先輩の送別会で二次会まで飲んだため、のんびりと起床。05:50ふらつく頭を抱えて天狗平を出発する。温身平の十文字から白い主稜線が望めた。06:19砂防ダムから登山道に入る。ブナが3本纏めて倒れ登山道を塞いでいる状況は前回と同様である。
06:41-50うまい水の塩ビ管は順調である。赤いマユミの実がびっしりと着いている。湿地に足跡が2名、先行者がいるようだ。白い山と紅葉の山肌を見ながら、07:16梶川出合を通過する。
07:39石転ビノ出合から見上げる石転ビ沢は殆ど雪渓がない。ホン石転ビ沢出合下の雪渓は崩壊しているようだ。単独の登山者が2名歩いていた。門内沢を渡り、石転ビ沢を渡る。ここでカッパを着て踏み跡を辿る。案の定、踏み跡は朝露で濡れた長丈の草で覆われていた。
07:53-05川原に出た所で食事を取る。追い抜いてきた登山者は本流をそのまま登って来た。カッパを脱ぎ、ルートを選びながら川原を進む。草が生えている所は足場が見えにくいし、そうでない所は石が動きやすいので注意が必要である。
もう1人の登山者を抜き、雪渓の崩壊状態を確認する。崩壊からそれ程期間が経っていないようで、氷の塊が散乱している。左岸に残る雪渓は今にも崩れそうだ。これは素直に左岸を巻くほうが安全と判断する。ピッケルを何時でも抜けるようにして、左岸に取り付く。雪渓が小さくなっているので岩場は前回より楽に通過できた。足場を慎重に選びながら急なガレ場を横切って行く。足元から崩れた石が乾いた音を響かせて雪渓の中に落ちていく。
雪渓を通過し、08:44ホン石転ビ沢出合からは本流沿いに登る。毎年発生する土石流が作った大蛇のような盛り上がりを利用する。正面に巨岩が立ち塞がった。右から巻けばどうということはないのだが、面倒なので力任せに強引に体を引き上げる。この時、腹部のポシェットに入れていたカメラに力が加わり、望遠調節装置が折れてしまった(泣)。それでも何とかカメラは作動するのが救いである。
左岸の岩場に広がる紅葉は何とも感動的である。見上げる北股岳は初雪に覆われている。1人で最も華やかな場面に出会えた喜びに浸る。
09:13-20北股沢出合で食事を取る。石の上にアゲハチョウ(?)の幼虫を見つける。これから成虫になったとしてもどうするのだろうと心配になる。水場付近から踏み跡を辿り黒滝を巻く。そのまま沢を詰めて中ノ島(草付)末端に取り付く。花はミヤマキンポウゲが一輪のみ。途中から雪が積もる。今秋始めて新雪を踏む。北股岳鋭塔の雪景色は格別である。雪は適度に締まっており登山道を快適に登る。草付ノ台地で梅花皮小屋を見上げると、ここは登山道が分かりにくい。大まかな見当をつけて登る
10:15-11:49梅花皮小屋に到着する。小屋前には2名の足跡が北股岳から烏帽子岳方面に続いていた。管理棟の鍵を開け、水を汲みに行く。ODDと無線を交信。そのうちに先ほどの登山者が登ってきて、本日はここに宿泊とのことであった。
本山小屋・三国小屋と同様に、梅花皮小屋も水洗トイレは閉鎖し、旧型1穴だけ使えるようにしている。
残りの登山者が登ってくるのを横目に、ロングスパッツを履き、梅花皮小屋を出発する。12:18-21北股岳山頂、新雪の展望を楽しむ。遠く火打ち燧ヶ岳や魚沼三山が白く見えた。ギルダ原を過ぎ、13:05門内小屋を通過する。登山道脇では笹の雪が跳ね動物のような音を立てる。ここから登山道の雪は少なくなる。
13:25-31扇ノ地紙で峡彩山岳会の3名に出会う。戸貝さんとは今年3度目である。正月山行の荷揚げとのことである。
ガスは流動的で、切れ間を縫うように撮影する。ケルンから先は雪がなくなる。13:51-08梶川峰でODDと交信する。ここで膝バンドを巻き下りに備える。14:29五郎清水を通過する。ガスの中からヘリコプターの音がする。金属音が混じった爆音は最上のようだ。偵察に来ているのかも知れない。14:45滝見場を通過、15:39-16:06鞍部で杖を突きながら下ってくる米沢の湯沢夫妻とお会いする。16:17湯沢峰通過、17:03無事天狗平に到着した。

石転ビ沢のルート、ホン石転ビ沢出合下で左岸を歩いている

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