登山者情報1,485号

【2011年09月24-25日/古寺〜大朝日岳:朝日連峰合同保全事業/井上邦彦調査】

 04:00に自宅を出発し、一路車を走らせて06:30古寺鉱泉駐車場集合時間には間に合ったものの、車があふれており駐車ができない。仕方なく荷物を降ろして若干手前の路側に車を置いた。
 今回の参加者は約50名。これでは点呼を取ることも大変である。法事で参加できないと言いつつも、朝日連峰保全連絡会代表である渋谷西川山岳会長が駆け付けてくれて挨拶。 作業の全体統括は連絡会幹事である高取大江山岳会長である。作業用具を手分けして担ぎ、06:55出発した。以後の時刻は筆者のもので、全体の時刻ではない。合体の木を過ぎた辺りで高取さんから「休憩しましょう」の声があり、ザックを降ろす。何せ人数が多いので、全員が同時に休憩を取るわけにはいかない。
 08:26一服清水は先週と違って、パイプが手直しされ豊富な冷たい水を楽しむ。ハナヌキの分岐を過ぎると急登が待っている。高取さんは「この辺りでは、沢をザワと発音する。三沢清水はサンザ清水であり、左沢駅はアテラザ駅である。またノをヌと発音し、ハナヌキは地元でハナノキ(植物の名前=ハナカエデだろうか?)の多い場所という意味だと教えてくれた。小国町五味沢でもブナをブノと発音する。ナ行は変化しやすいのかも知れない。
 深く掘れた登山道は、何時か本格的に保全作業の必要があるだろう。工法等を話している内に、09:24三沢清水に到着した。
 ここも先週は殆ど出ていなかったが、大江山岳会の阿部さんが直してくれたそうで、勢いよく水が出ていた。雨がぱらついてきた。日帰りなら構わないが、泊りなので衣類を濡らしたくないので、早々に合羽を着た。
 09:49古寺山を通過する。視界は比較的良好である。見渡す限りのブナが茶色に紅葉したり、坊主になっている。ウエツキブナハムシによるブナ枯れである。先週たくさん見かけたブナハムシを探したが、葉が落ちているか、枝についていても緑の部分が全くなくなって丸まっており、殆どいなくなっていた。
 小朝日岳を巻いて、熊越えから登る途中、日帰りの方なのか、前泊された方なのか、何パーティともすれ違った。
 11:17銀玉水で一息入れるが、風も出始め、じっとしているのが辛いほど寒くなって来たので、今夜の水を汲んで早々に登る。暑かった先週の思いがあり、Tシャツに直接合羽を着ていると、腕が冷たくなってくるのが分かる。
 12:00ようやく大朝日小屋に到着し、先に着いていた小国山岳会のメンバーに割りこんで食事を採る。全員が到着し、昼食を摂っている時、班長が1階に集合し段取りを打ち合わせる。その後に、2階で各班の点呼を取り、副班長を指名して作業の指示を行った。
 13:26作業開始。番線を切断し折り曲げて緑化ネット用のペグを作るのだが、意外とコツがいる。柴田班長が手取り指導をしていた。別の班は小屋の後ろに運んで置いたネットと土嚢を施工現場まで搬送する。残りの班はザックとビニール袋を持って銀玉水まで降り、敷き詰められている椰子繊維を剥ぎ取って、現場まで幾度となく往復運搬作業である。
 一方、班長と事務局は中岳中腹まで登り、施工が必要な箇所にデフ布を設置し、施工方法と担当班長を順次決めていった。問題は今回の最難関施工個所である。ここはふかふかするような軟弱な土壌に、風食と水食が同じ場所に絡み合って浸食されている。これまでに経験のない場所である。ここは椰子繊維を投入するしかない、後は班長判断とし、各班に分かれた。
 排水路班は早速工事に取り掛かったが、残された班長はぞくぞくと到着する椰子繊維をデポする一方、土嚢に詰めて試行を重ねた。
 17:05小屋に戻る。濡れた合羽は殆ど乾いていた。2階にびっしりと陣取り、思い思いに夕食の準備に取り掛かり、高取さんの「乾杯!」の音頭を合図にビールが喉にしみ込んだ。今夜も楽しい夕食となったが、湯気のため撮影は殆どできなかった。
 翌朝は、大朝日山頂まで足を伸ばした方も沢山いた。天候は申し分ない。朝食を採り、小屋の外に出る。
 07:25高取さんの挨拶後、各班に分かれて作業開始。09:43作業が終了したので全員で記念撮影。中岳中腹に登り、班長が施工の目的と工法を説明、その後に川端さんから厳しい質問やチェックが入り、一部手直しの箇所もあった。「合格」の判断に小躍りする班員、逆にしょげかえる班員、最初から弁明に終始する説明等々、これが合同保全事業の醍醐味である。
 11:09振り返り終了、小屋に戻って昼食とするが、帰路ハイマツを食い荒らす不思議な芋虫を発見。これが帰宅してから大騒動を巻き起こすとは、その時は誰も考えもしなかった。
 昼食が終わったグループから順に下山を開始する。筆者は小国山岳会メンバーと一緒に12:30大朝日小屋発、無事に古寺鉱泉駐車場に到着し、16:16解散とした。

駐車場から車が溢れる中、説明が始まりました
今回の総括リーダーを務める高取さん
朝日連峰保全連絡会の渋谷代表が、
大江山岳会から提供された乾杯用のビールを紹介
皆さんの意気が上がります
さあ出発です
古寺鉱泉の橋を渡ります
ここで1回目の休憩
一服清水で喉を潤す
清水の順番待ちです
美味しい水でした
三沢清水に到着
ここで合羽の出番です
急登を過ぎるとなだらかな道が続きます
古寺山にて
小朝日岳が姿を見せてくれました
鳥原山 ブナは殆ど全てブナハムシに痛めつけられています
ブナハムシの死骸 先週より随分少ない
小朝日岳
雨は降ったり止んだり
銀玉水に着く頃は、大変寒くなってきました
大朝日小屋に到着!

ハイマツの食害

1日目の作業

2日目の作業

振り返り

下山